独断でいくつか。
とりあえず、『リスク』が面白い。中世までの人々は「神が全てを決める、決定的な世界観」を持っていたが、科学が発達して確率的な世界観を持つようになったことで、将来の不確実性をコントロールしたい、という欲求が起こった。リスク管理のはじまりはじまり。その欲求が満たされていく壮大な歴史物語。
上下あわせるとかなり量あるが、読み進めるうちに、読み終わるのがもったいない~ってなってくる。まじ名著。著者のバーンスタインの本は、数冊よんだけれど、全部オススメ。『証券投資の思想革命』とか、『ゴールド」とかが有名かな。
おなじ著者が書いた以下もお奨め。こっちは、金融理論の発達と実務の両方について触れている本。ま、どちらかというと、理論よりかな。金融技術の発達の歴史がよくわかる。『リスク』と比べると、ここ数十年、せいぜい100年くらいに絞っているのが特徴。
さて、次はロバート・シラー。まぁこれも超有名本だよね。EMH(Efficient Market Hypothesis、効率的市場仮説)の批判の代表格。読めば読むほどEMHなんて信じられなくなっていく。「根拠なき熱狂」って表現は、グリーンスパンの言葉から来ているのだっけ?
シラー本の有名な対抗馬は、マルキール本。これも長い長いベストセラー。これ読むと、EMHはほぼ正しい、って思えてくる。シラーとマルキールは、must readっしょ。両方読んで、EMHについてどう思うか、自分なりに考える、というのは最高の知的遊戯だと思う。
あとつい最近読んだ『まぐれ』。これも超面白い。「EMHは概ね成立している」という立場みたいだ。口は悪いが、相当学識が高い。専門性がやや高いかな。金融のこと、ぜんぜん分からない、って人が読むとキツイかも。一言で言えば「儲かってるトレーダーなんて、ほぼまぐれ」ってことなわけですが。『ブラック・スワン』のタレブの著作。
あと、サブプライム危機について読むならば、以下かな。あまり学問的に難しい話は出てこない。平易な日本語で書かれた、分かりやすいサブプライム入門本。が、よむ価値はある。なぜサブプライムがトリプルAになっていたのか、とか、ここまで分かりやすいか、って思った。僕の読書感想は、これ。
現在の金融危機については・・・まだいい本はないな~。残念ながら。現在進行形なので。ネット上で英語ならばいい議論はたくさんあるが、日本語で書籍の形になっているいい本、となると、まだ僕は知りません。巷にある日本語で書かれた「現在の金融危機本」はほとんど読む価値ないと思います。おもしろいのがあったら、誰か教えてください。
金融危機と言えば、1997年のアジア危機に焦点をあてている、以下が面白い。竹森俊平教授、文章がとにかく上手。非アカデミックな文章と、アカデミックな匂いのきつい文章が、交互に来て、読まされてしまった。
アジア危機と絡めて、LTCM破綻については、以下の二冊読めばOKかと。二冊両方読んだ後に、めっちゃ心地よい読後感が得られた。「非合理なマーケットが、より非合理になるリスクを軽視したのね」というのが、僕のLTCM破綻のついての一言での説明。
『LTCM伝説―怪物ヘッジファンドの栄光と挫折』と『天才たちの誤算―ドキュメントLTCM破綻』の読書感想
どれも超有名本だし、このブログを面白いって思うような人なら、きっと楽しめるでしょう。というか、既読が多いかもしれませんが。
コメント
わたしは確実に1のレベルの人ですね。
反省します。
いや、俺も1です。
というか、コメントするところ間違ってるよ・・・。