『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の読書感想

ちょーいい本。ちょー面白い。面白いというか、楽しい。読んでいるだけで、わくわくさせてくれる本。いろいろな人が薦めるのも頷ける。めっちゃ良書。僕が今まで読んできたビジネス書の中で、ひょっとして一番かもしれない。

利潤最大化ではなく、基本理念を貫き通すことが重要、という感じ。Walt Disneyであれば、「自分たちのイマジネーションを生かして、人々を幸せにすること」という基本理念があって、そこからDisney作品が生まれている。注意すべては、「子供向けアニメを作る」という基本理念ではないこと。それだと、Disney Landは生まれないから。そして、利潤はついてくる、と。

カリスマ的な経営者は要らない。カリスマ的な創業者が去ってダメになる企業もあるが、ビジョナリー・カンパニーは違う。創業者は、基本理念をしっかりとつくって、それを組織の隅々まで浸透させる。ビジョナリー・カンパニーの創業者は、正確な時を告げるのではなく、正確に時を告げる時計をつくる。自分がいなくなってからも、基本理念が後継者に引き継がれるという永続性を、自分が創業した会社に、備えつける。優秀な経営者が引っ張るのではなく、企業がしっかりと優秀な後継者をつくるシステムが出来上がっているのが、ビジョナリー・カンパニー。

ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を最重要視する。これに反した行動をとった従業員は厳しく罰する。利益に反するとしても、基本理念を最重要視する。企業にとっての利潤とは、人間にとっての水。水がないと人間は生きていけないが、だからといって、水を飲むために人間は生きているのではない。利潤がないと企業は生きていけないが、だらかといって、利潤を得るために企業は生きているのではない、という考え方を持つのが、ビジョナリー・カンパニー。(これは、経済学のもっとも基本的な仮定の一つに反する!)

では、なんのための企業は存在するのか?これこそが基本理念。で、それは、企業によって異なる。人間がなぜ自分は生きているのか、という答えに対して十人十色なのと一緒。これを見つけることが、ビジョナリー・カンパニーになる第一歩。第二歩は、それを実行すること。たとえ利益に反するとしても。

例えば、Walt Disneyであれば、「自分たちのイマジネーションを生かして、人々を幸せにすること」だし、マリオットであれば、「自分の家を離れたところで、自分の家みたくくつろげるようにしてあげること」になる。本書に登場するビジョナリー・カンパニーで、日本企業はソニー一社のみ。ソニーの場合は、「日本文化の向上に貢献すること」だって。基本理念は、100年後も同じであるような、永続性のあるものでないといけない。ビジョナリー・カンパニーになるには、まずは、それをみつけないといけない。

この本は、たぶんときどき読み返すと思う。読むと気持ちが高揚するんで。

コメント

  1. […] (5)『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』 偉大な企業の目的は利潤最大化じゃないってさ。でも利潤も必要よねぇ?ないとつらいもんね。死んじゃうって。 […]

  2. […] 経営理念とかを書かないと守れないような経営者はダメ経営者だと思うので、経営理念は文章化していないらしい。(前社長の山内さんの話。)そうか、それでビジョナリー・カンパニーに名前が挙がっていないのか。 […]

  3. […] そんなTOYOTAがビジョナリー・カンパニーに選ばれていないのって、おかしい気がする。 […]

  4. […] そういやディズーってビジョナリー・カンパニーでも取り上げられていたな。他のビジョナリー・カンパニーの秘密について書かれた本も読んでみるか。また読書ポートフォリオ最適化の基準が一つできた。 […]

  5. […] 『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の続編。感想は、前作と同じく「わくわくして楽しい気持ちになった」というところか。両方ともいい本っす、お薦めできます。 […]

  6. […] 経営学の本、いままでかなりたくさん読んだけど、「まじでこれはいい」って思ったのは、ほとんどない。(『ビジョナリー・カンパニー』は数少ない例外。)結局、いつの時代にもどの国のどの企業でも当てはまる普遍の法則なんて、ないと思う。文化、宗教、言語みたいな基礎条件だけでなく、政策、経済水準、政治状態などなど、いろいろな条件が異なるのに、そんな普遍法則があるなんて、ちょっと信じられない。アメリカでうまくいったマネジメント方法が、日本でうまくいくんだろうか。vice verca。 […]

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