『すべての経済はバブルに通じる』の読書感想(その1)

ものすごく勉強になる。いつもだったら、本の紹介記事は一回書いておしまいだけど、この本は、複数回に分けて書こうと思う。昨今の金融危機について、今後の資本主義がどういう方向に向かうのかについて、自分自身の理解を深めるためにも、少し丁寧にこの本を扱おうと思う。なので、自分自身の勉強用のエントリーという性格が強くなることを、冒頭にstateしておく。

著者の主張を正確に知りたければ、本を読んでください。(読む価値は、十分あります。)

目次。

第1章 証券化の本質
第2章 リスクテイクバブルとは何か
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安
第5章 バブル崩壊1―サブプライムショック
第6章 バブル崩壊2―世界同時暴落スパイラル
第7章 バブルの本質
第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖

とりあえず今日は、第一章と第二章について。

第一章 証券化の本質

まず、サブプライムローン問題の背後にあった、証券化というテクニックについての説明。証券化のプロセスの中で、リスクは小口化され、切り分けられ、純化された。それによって、投資家のリスク選好にあわせた形で金融商品をオーダーメイドできるようになった。中でも、特にリスクが低いところだけを集めて作られた証券は、トリプルAの格付けを得てもおかしくないものとなった(注:本当にトリプルAの実力があったかどうか、不明。ここで言いたいのは、サブプライムローンというジャンクが、証券化で、一部はジャンクではなくなった、ということを強調したいだけ)。ところが、ここが僕はサブプライム問題の肝だと理解しているんだけど、この格付け自体を、格付け会社が誤っていたのが大問題だったんじゃないか。いくらオーダーメイドで低リスクのところだけをかき集めてみたところで、それはトリプルAにはなりそうもない、せいぜいトリプルBくらいだったんじゃないか?格付け会社は、ここをミスジャッジしてしまった、というミスを犯したんじゃないかな。それについては、ここにも以前書いた。

さて、実は証券化の前後で、投資家がとるべきリスクに変化が生じた。証券化されたことで、リスクが、住宅という実体経済に関連するリスクから、証券という金融商品に関連するリスクに変質した、と。実際経済での「資産の収益性、将来得られるキャッシュフロー」に関するリスクが、流動性リスクに変質した、ということ。いったん、このようなリスクの変質が起こってしまえば、あとは株やら債券やら、通常の資本資産市場とまったく同じで、原資産がどうかなんて、どうでもよくなってくる。株と同じで「自分より高く買ってくれるバカ」がいればいいのであって、原資産(株の場合、発行体の業績、サブプライムの場合、サブプライムの借り手の置かれている状況)なんか、どうだってよくなる。この時点で、サブプライムローン市場でバブルが起こる背景が出来上がっている。せめて、格付け機関だけでも、原資産に基づいた格付けを行えていれば、まだ実体に基づいていただろうけど、上述した通り、それは叶わなかった。

第二章 リスクテイクバブルとは何か

さて、サブプライムローンでバブルが発生する下地が、証券化によって整った。で、このバブルがいかにして大きくなり、かつ、なぜ弾けなかったのか?についての考察が第二章。それは、「住宅価格が上昇し続けていたから」ということになる。じゃあ、なぜ住宅は上昇し続けたのか?それは、「サブプライムローンは、定義より、低所得者をマイホーム市場に参入させることになったが、それが、住宅需要を増やした」という事実が背後にある。マイホームを持てない低所得者に、マイホームを持たせてあげる支援をしているのだ、ということになり、すばらしい事にも見えた。サブプライムの借り手が破産するなりして、住宅需要が減るようなことになると、バブルを支える住宅価格の上昇がストップしてしまうので、彼らの破産を予防し支援するインセンティブも、ステークスホルダーにはあった。こうして、サブプライムローン市場では、バブルが大きくなるようなメカニズムが、内包されていたのだ。

・・・と、とりあえず、今日はここまで。あれ、小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記ってTB受け付けていないんかいな。。。

 

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