『すべての経済はバブルに通じる』の読書感想(その2)

その1の続き。いや、これ、本当にいい本だ。

第3章 リスクテイクバブルのメカニズム

サブプライムローン市場では、普通のファイナンス理論では説明ができない価格高騰が起こっていた。この状況を、著者は「リスクテイクバブル」と呼ぶ。リスクをとること(=risk take)に対する対価が、リターン、ということになる。価格高騰は、リターンの低下と同義。逆に言えば、ある一定のリターンに対するリスクとしては、サブプライムローン市場で売買されていた証券価格は、高すぎた(=高騰していた)、ということ。

どうしてそうなったのか?金融投資の素人が不勉強だったからだろうか?いや、違う。この状況をつくったのは、プロの投資家であるファンドマネージャーだ。では、なぜプロの投資家が合理的な判断を下せない状況になったか?というと、ちまちま運用すれば、「もっと儲けよ、さもなくば解約するぞ」と顧客から言われてしまう状況が理由。こうしてファンドマネージャーは過度にリスクをとりに行くインセンティブがあったと推察できる。この問題の背後には、ファンドの顧客とマネージャーの間に、ファンドマネージャーの真の能力をめぐる情報の非対称性があった。

この情報の非対称性の結果、ファンドマネージャー達は、「リスクを適正評価出来ないリスク」にされされた。もちろん、マーケット全体で見れば、way too much risk takingな状態になる。合成の誤謬。

よく考えると、消費の冷え込みが背景にはあったっぽい。消費しないから、過剰貯蓄で金余りの状態を生み出していた。その金の運用責任者としてのファンドマネージャーは、運用すべき資金をたっくさん持っていた。「金はいくらでもあるんだ」という状態だったのが、サブプライム問題が表面化するまでの数年の真実だったんだろう。

第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安

2007年2月28日の世界同時株安。原因は、上海の暴落と伝えられたが、それは違うと著者は言う。真の原因は、米の暴落だった、と。ただ、「上海が犯人」という説が人々に信じられたので、その後、しばらく上海と他のマーケットのリンクが強まった。ウソから出た真ってこと。マーケットでは、何が真実かよりも、「みんなが何が真実だと思っているか」ということが重要。ケインズの美人投票理論ってこと。

円キャリーについても同じこと。実際、どれくらいの量の円キャリーが行われていたのかは、誰も知らない。知っている人いたら、教えて欲しいよ。でも、「円キャリーをやってる投資家がいる」と、多くの投資家が信じていたという点が重要。株安の局面で、円高も進行した。この円高、本当に「円キャリーを解消するための円買戻し」によるものだったかどうかは不明。でも、とにかく、円高が進む為替を見て、多くの投資家は、そうだと思って、世界中のリスクアセットマーケットから、資金が引き上げることを予想し、株を売りまくった。で、株安が進みまくった。でも、ひょっとしたら、この一連の動きは、円買いをしかけ、世界中の株式市場で空売りで大儲けしたファンドのせいかもしれない。

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