『女性の品格』の読書感想



『国家の品格』が売れたので便乗しようという魂胆が丸見え。実際、本書も売れているので便乗には成功している模様、おめでとうございます、良かったですね。

内容はおおむね常識的に考えて当たり前のこと、正しいと思えることばっかりだった。が、あんまり著者から品格を感じなかった。というのは、ところどころにトゲのある言葉遣いがあったり、内容自体がまったく賛成できないことがあったから。本は筆者の言いたいことを主張する場所なのでどれだけ好き勝手言っても構わないが、「私がここで書いていることが、女性の品格なのです」と頭から決め付けている点が気に入らない。いや、もう少し言うと、「私の生き様こそが、女性の品格なのです」とすら思っていそうな雰囲気を感じた。

筆者は「品格」という言葉に明確な定義を与えていない。僕が筆者の代わりに定義文を書くとすると「女性がビジネスで成功するために必要な基本的事項」といった具合になる。筆者の語る「品格」には、どこか打算的な雰囲気が漂っており、品格が感じられないことも多々あった。

とは言え、筆者の言うすべてに反対なわけではない。多くは、賛成できることばかりである。むしろ常識的で当然のことばかりなのだ(ちゃんと挨拶しよう、とか、悪口言わないようにしよう、とか)。そういう部分だけを拾い読みして、当たり前のことができていない自分を戒めるくらいの使い方がちょうどいい本だと思う。

国家公務員としてのキャリアを送り、出世競争だとか利害調整で多忙な人生を選択すると、このような人間になってしまうのだろうか。

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