これが630円は超安い。月並な感想ですが「非常に示唆に富む本」。冒頭にある、榊原英資氏による監修のことばを読むだけでも元はとれるかも。現状の日本企業は、「グローバル化やだ、英語を公用語化だっておかしいね(笑)、円高やだ、これまで通り円安で輸出で食っていきたい」、という感じみたいだけど、本書を読むと、そんなことを言っている場合じゃないのかもって思う。
ちょっとだけ引用。
売上高の半分どころか、7割、8割を海外で稼ぐ企業が存在するように、日本企業はグローバル化を加速させています。その傾向が進むことはあっても、後戻りすることはありえません。(p5)
企業の国籍なんかもう関係ない時代になってきたなー、って思う。日本企業というものは、創業者が日本人だったという以上の特徴はなくなるんでしょう、きっと。これからは。日本の労働者がダメだということになれば、より優れた海外の人材を雇うというだけなのかも。日本の労働者にとっては厳しいことに。ほんと、日本の大学生は年々かわいそうなことになっている。自業自得かもしれないが。でも、今のオッサンたちだって大学生の頃遊んで暮らしてたのに、ほんとアンフェア。世代間不公平感。
実際、海外の人材を採るってニュースは最近よく聞くようになった。
当面、米国の金融政策はかなり緩和的な状況は続きそうなので米の長期金利も低水準のままっぽい。9月に入っていろいろな指標をみたら景気後退懸念が和らいだとかいうが、二番底にはならずにすみそうというだけで、見通しは暗い。で、日本のデフレもすぐには治りそうにない。というわけで、現在の1ドル84円くらいが円安か円高かどうかは僕は知らないけど、良し悪しは別にして、円安に動く要因は見当たらない。年内に100円に戻るみたいなことを言っていた人もいたけど、そんなことありえないって思う。
「なるだろう」、という議論と、「であるべきだ」、という議論は分けて考えないといけなくって、「であるべきだ」議論は政策的なお話なんだけど、どんくらいのレートを望ましいと政策担当者が考えているのか、ちょっと不明。困ったことに。ほんとに困ったことに。84~5円を円高じゃないと考えているなら、「こんなん実質でみたら円高じゃないし。介入するつもりないし。円高歓迎。日本企業は、この円高利用して海外企業を買い叩いでください」とか言ってみたらどうかしら。実際にはそんなことは言ってないわけだけど。実際には、中途半端に緊急緩和させてたけど。どういう方向に向かいたいんだろ。
なんにしても、いま、「この円高を利用して海外企業を買ってしまえ」を実行した企業としない企業で、大きな差が生まれるのかもしれない。ほんと、そういうこと実行する人のエネルギーはすごい。
とにかく、この国どっちに向かって進むのかリーダーに明示してもらわないとみんなどうしていいかわからんのだけど・・・リーダーがなぁ・・・。
コメント