『数に強くなる』の読書感想

暇つぶしに読んでみた.暇はつぶせた.
大学3年のとき,シュウカツ対策に読んだ『ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか? 』をもっと一般向けに書いた,といった感じ.「よく知られているいくつかの数字をもとに,これらを組み合わせ推論し,欲しい数字を短時間で大雑把に導く」ということをもっと意識的にやりましょうね,が著者の主張かな.これが出来る人が,著者の定義する「数に強い人」である.
すでにそういうことに慣れている人にとっては,つまらん本だろうし,出来てない人にとっては,おもしろい本ということになる.でも,この本をつまらん本だと言える人はほとんどいないと思う.だって,著者の意味での「数に強い人」なんて現実にはあんまりいないから.そしてそれは,日本人は「数に強くなる」ような教育を受けていないから.
数学が出来るってことじゃない.日本人の数学力ってけっこういけてるんだとおもう.でも,数に強くなるのに必要な予備知識は,常識と四則演算だけ.あとは推論する能力と意思さえあればよい.優れた経営者には,「数に強い人」が多いと著者は言う.
例を一つ考えてみた.たまに,ベストセラーの本が100万部突破といって話題になる.100万部売れる本がどれだけすごいか,考えてみよう.日本人の人口は大雑把に1億.ということは,100人に1人がこの本を買っている.この数字だけを考えると,大した数字には思えないかもしれない.でも,本を買った人は,その本を家族や友達とかに貸して読ませる.特に結果的にベストセラーになる本なのだから,それだけ中身があると考えられる.よって,それだけ強くお勧めすると考えられる.仮に2人が読ませられるとしよう.すると,100万部売れた本は,300万人に読まれることになる.この300万人は,読んだ本の内容を大雑把に周りに人に話すだろう.電車とかご飯とかの席で話題に上るだけなら,たくさんの人に聞かせられる.仮に,10人に内容を話したとしよう.実際に本を読まなくっても,読んだ人から内容を聞くことで,この本の内容は,約3000万人の耳に入ることになる.というわけで,100万部売れると,日本人の4人に1人は本の内容を知ることになる.子供や超高齢者を除けば,3人に1人くらいが,本の内容を知ることになる.というわけで,100部本を売ると,日本人の3人に1人に大して自分の言いたいことを聞かせることが出来るから,100万部はすごい数なんだ,と思える.
・・・とこんな感じの思考回路を日常的に出来る人が,著者の言う「数に強い人」なんだけど,なかなか難しいね.

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