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『外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」』の読書感想

 

これは超良書だった。たぶん読み返すと思う(=最高の褒め言葉)。

まず著者のプロフィールは、

山口 周( や ま ぐち しゅう) 1970 年 東京都 生まれ。 慶 應 義塾 大学 文学 部 哲学 科 卒業、 同大 学院 文学 研究 科 美学 美術史 学 専攻 修士課程 修了。 電通、 ボストン・コンサルティング・グループ、 A. T. カーニー 等 を 経 て 2011 年 より 組織 開発 を 専門 と する ヘイグループ に 参画。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.3308-3311). . Kindle 版.

大変素晴らしい経歴で、しかも相当な読書家ですね。文学部の院卒って、こんな感じの読書家ばかりなんですかね。ことあるごとに、歴史上の偉人の本からの引用が。名前とタイトルは知っているけれど、ほとんど読んだことがなかったよ、恥ずかしながら。カール・ポパーの『果てしなき探求』とか。この人より読書量が多い人は、そうはいないと思う。

で、その博識を、知的生産活動にちゃんと活かしてビジネス活動をやっていそう。会ったことがないけれど、本を読めばそういうのってわかるよね。この人とコーヒーでも一緒に飲んだら、きっとすごい楽しいだろうな、って思わせてくれる感じ。僕自身も、人からそう思われるような人になろう。そのためには、たくさん読書しよう。

本は冒頭、「知的生産をするとき、なにからはじめますか?」という問いかけから始まる。著者の答えは、「知的生産の戦略策定」いうことで、やみくもに情報収集してもしかたない。というところからはじまる。戦略策定とは、

知的 生産 において は「 顧客 が すでに 持っ て いる 知識 との 差別化」 が 一番 大きな 問題 になり ます。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.153-155). . Kindle 版.

 

具体的 には「 新し さ」 を 出す には、「 広 さで 出す」 のと「 深 さで 出す」 のと、 二つ の 方向性 が あり ます。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.166-167). . Kindle 版.

ということを考えましょう、と。次に、以下の3つを考えましょう、と。

 

  1. 顧客の明確化=そもそも「顧客は誰?」を明確化しましょう、と。差別化というけれど、「具体的に、誰が持っている知識とかぶらないようにしたらいいの?それによって、誰に付加価値を届けるの?」ということを考えましょう、と。
  2. 顧客の期待する品質の把握
  3. 正確な予算、納期

つまり、顧客の期待値をコントロールしましょう、と。

よく「 あいつ は 仕切り が いい」 とか「 あいつ は 仕切り が 悪い」 という 言い方 を し ます が、 仕切り という のは 要するに 期待値 コントロール の こと なの です。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.285-287). . Kindle 版.

プロジェクトをすすめる時にも、大変参考になる。で、実際の知的生産をやったら、ちゃんと「ポジション」をとりましょう、と。

「ポジション」とは、要するに自分なりの結論。ただ、科学研究とかと違って、ビジネスで行う知的生産は、結論から変わりうる。限られた時間の中で、限られたリソースの中で、ベストというか、よりベターな回答をつくって、それをちゃんと大声で発表しましょう、と。あとで間違っていることがわかることになるかもしれないけれど、それを恐れてはいけない、と。ビジネスで行う知的生産は、そういうものだから、と。

 

いうまでもなく、いつまで経ってもそんなタイミングは来ません。経営はアートであって自然科学ではありません。ビジネスの世界には不変の法則などというものは存在しませんし、プレイヤーや顧客の状況は川の流れのように常に変化していて流動的です。そのような流動性の中にあって「最終的解答」などというものを探し求めるのは無茶を通り越しています。ポジションというのは常に、その時点でのベストエフォートにならざるを得ないのです。

 

「過ちては改むるに憚ること勿れ」ということかな。

 

本の後半では、読書術が。これも勉強になったので、箇条書きにまとめてみる。

  1. 著者は、evernoteでメモしているらしい。一冊9コまでにしているらしい。それを膨大な本についてやっていて、これを知識の「イケス」と呼んでいるようだ。僕がblogに読書感想を書き出しているのと似ている。
  2. どういう本を読むべきか?という話。割りと、興味の赴くままに読んだらよいのでは?ということが書いてあった。鉄板本をしらみつぶしに徹底的に読んでも、ぜんぜん頭に残らなかった、と著者自身がいっているが、これは同意。
  3. ある分野については、3~5冊も読めば十分といっていたが、これも同意。それ以上読んでも、限界効果が逓減する。

 

 

最後に、印象に残った言葉を。

人は、いくら合理的な理屈で説得されても、本当に共感しなければエネルギーを全開にできません。これは意識的なコミットメントレベルというよりも生理的な反応の問題であって、要するに人間という生物はそういうふうにできているということです。人のエネルギーを高レベルに引き出して方向付けるというのはリーダーの核となる役割ですが、そのためにも「説得ではなく納得を、納得ではなく共感を」目指すことが求められま

 

人は、道徳的に正しいと思えること、社会的に価値があると思えるものに自らの才能と時間を投入したいと考えるものであり、

いや、本当にいい本でした。また読み返します。