文明の逆説―危機の時代の人間研究 立花 隆 講談社 1984-01 |
ふと自宅の本棚にあったこの本をなぜか読んでみた.僕の人生のdiscipline(規律)は間違いなく経済学だけど,これからはもっとほかのジャンルの本を読もう,という気分に今なっているから,ふとこんな本と目が合って読もうと思ったんだろう.
話の筋としては,人間は人口が増えすぎて生態バランスが崩れそうなので,これをなんとするために人類は自ら人口を調整しようとしているのだ,それが「親の子殺し」といった悲惨な事件として現れているのだ,という感じ.
経済学漬けの私だが,これからはもっといろんな本を読んでみよう.そうしないと,この本がトンデモ本なのかどうかすら,世間の相場観が分からない.
(余談)本書の中で,「四色問題は解けた!五色必要な地図が発見された.」と立花が勘違いしていたことが書かれている.エイプリルフールに,ある学術誌にそんなウソ論文が載っていて,そうとは気づかず信じてしまったとのこと.もちろん,実際には「どんな地図も,四色あれば塗り分けられる」ということが,いつだったか何十年前かに証明された.そして面白いのは,「五色必要な地図」として示された地図を立花が四色で塗ってみようとしたら,「それは無理だった」と立花が書いている点.いかに人間は権威に弱いのだろうか,という好例.「学術誌の載っていた例だから,四色では塗りきれないに決まってる!」という思い込みが,立花の目を曇らせたのだ.
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