我々科学者の「ロマンティックな研究態度」が脅(おびや)かされているんだ、いやもう敗れてしまったのではないか。「トンボのように飛ぶ」にはどうしたらいいかを科学者は未だに解明できないが、遥か昔に飛行機を発明し、人類は飛行機会を得た。それと同じことが今「知性の研究」の分野で起きつつあるんだ。お前たち、ロマンティックな研究をいくらやっていても「グーグル的なもの」に負けるぞ、時代はもう変わったんじゃないのか。茂木は若い研究者・学生たちをこうアジった。「ロマンティックな研究態度」とは、物事の原理を理論的に美しく解明したいと考える立場のことである。
グーグルの登場ごときで研究のロマンが崩れるほど,認知科学や複雑系研究者の情熱はちっぽけなものではないに違いない.研究者の目的は真理の追究だが,グーグルの目的は真理の追究ではない.どちらがすごいということではない.
グーグルが登場したところで,僕は,人間の脳みその仕組みを理論的に美しく解明してくれる優れた研究者がいつの日か出てきてほしいと今後も相変わらず思い続ける.実際にそういう研究者が登場する確率は低いかもしれないが,彼らがロマンを持っている限り確率は0ではない.しかしもしこの研究分野の研究者がロマンを忘れたら,僕のこの願いがかなう確率は0になる.
僕だけでなく,同じように願う人がたくさんいるはずだから,グーグルの登場ごときで研究のロマンをなくす必要なんか,ぜんぜんない.
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