『とてつもない日本』の読書感想

我が国の総理大臣は何を考えているのだろう、ということで読んでみた。「元気で前向きなお坊ちゃん」が正直な感想。

まずはネガティブな感想を二点書く。

一点目。名門の家に生まれ、初等科・中等科・高等科・大学とずっと学習院で学んだお坊ちゃん。ちょっと気が利いた人間なら、ずっと私立で狭い世界にいると視野が狭くなるので大学で出るか、という発想になると思うのだが、麻生太郎は大学まで学習院に行っちゃった。その理由を、本書で書いているのだが、これが笑える。

「父親に官立の大学を受験したいといったら、『官立大学はお金がない人がいくところで、お金持ちのおまえが行くのは税金がムダ。それに東大は役人になるためにいくところだ。おまえ役人になるのか』と言われ、これにはなにも言い返せなかった」だって。なんの理由にもなっていない。東大は、お金持ちかどうかはまったく関係なく、単に試験の成績のみで合否を決めている。そうして選別した優秀な学生を、税金をつかって安い授業料で育ててきた。最高学府に入学するのにコネもカネも関係ないのが、日本の教育の良い点なわけで、お金持ちでも東大に行った人はたくさんいる。貧乏でも東大に行った人はたくさんいる。どうしてお金持ちの麻生太郎だけが東大に行ってはいけないのか?気が聞いた優秀な人材であれば、「お金持ちかどうかは関係なく、自分は最高学府に学び、将来国にリターンします」と言い返したに違いない。父に言われるがままに学習院にそのまま進学しました、というのは、あまりに軟弱。さらに、東大卒=役人というのも思い込み。このエピソードが本書で一番印象に残った。

二点目。「高齢化社会というと、みんな暗く考えがちだが、そうでもないよ」という文脈で書いてあったこと。それは、「日本の高齢者はお金持ちだから、たくさん消費してもらって明るい側面もある。若い頃買いたくても変えなかったバイクに乗ったり、ゴルフ三昧したり、そういうお年寄りが出てきもいいじゃない」という趣旨の意見。誰もが「ゴルフ三昧」できるほどお金持ちではないって、知ってる?やっぱり金銭感覚がずれているのかなぁ?と言わざるを得ない。

次、ポジティブな感想を二点書く。

一点目。麻生さん、すっごく前向きで明るい。ちょう学習院って感じ。なにか暗いことがあっても、明るい面にライトをあてようとする。こういう人がトップに座ってくれていると、国全体も明るくなれる気がする。ここが福田さんと違う。

二点目。お坊ちゃんだが、アフリカのシエラレオネでダイアモンドの発掘で2年間住んでいたこともあるなど、それなりに苦労もしてそう。ここが安倍さんとは違う。これがなければ初等科から大学まで学習院、その後カネコネの力でスタンフォードとLSE留学、その後父親の会社に入社、まもなく役員になり最終的には社長に、という単なるお坊ちゃんでしかなかっただろう。

しかし永田町は人材不足ですね。いまの日本を象徴しているのかな。

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