『意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法』の読書感想


マッキンゼーのコンサルタントだった後さんが,「経営をするための分析とはこうしてやるのだ」と方法論を紹介している本.マニュアル本.紹介されている内容は高品質.が,読んで納得するのは簡単だが実践で活用できるのは難しそう.場数踏まないとダメだな.というわけで,経営者がみんな後さんが持つような「高い分析力」を会得・実行するのは不可能なので,やはりコンサルという職業は必要なんだろう.
印象に残ったのは,pp.202

ハーバード・ビジネススクール(HBS)は,経営は科学ではないという立場をとる学校である.

ずっとこのpp.202まで本書を読んでいて,どことなく違和感を感じていたのが,この一文で解消された.僕はずっと経済学の大学院というアカデミックな世界にいて,経済学とは一応,科学だから,科学的な思考に慣れきってしまっていたから,どうも本書で書かれている「分析の仕方」は違和感を覚えていたのだ.科学は常に客観性を求めるが,本書ではありとあらゆる分析の場面でどうも主観が混じりまくっているなぁ,と思ったわけ.
考えて見れば,経営が科学でないなんて当然.もし科学であれば,経営する上での法則,定理なりがあって,それに従えば誰も失敗なんてするはずがないし,経営トップが誰であっても,ビジネスは成功してしまう.個人の性格,経験,直感などの個性(つまり主観)に基づき経営の意思決定をし,その結果として事業が発展したり衰退したりする.つまり,経営が科学なわけないってこと.

コメント

  1. […] […]

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