『天才』の読書感想

田中角栄の自伝。といっても、石原慎太郎が、田中角栄になりすまして、田中角栄の一人称の視点で、田中角栄の人生について振り返った本。田中角栄に関する文献・証言・自ら知っていることをもとに書いた本。

経世会全盛期の話をリアルに読めた気がして、勉強になった。僕の年齢だと、経世会が絶大な権勢を誇っていたなんて、相当年配の人から聞くだけで、信じられない。栄枯盛衰がすごい。田中派、竹下派、小渕派、橋本派、額賀派ときて、また竹下亘派になったようだけれど、僕が二十歳くらいのときからは、清和会と宏池会が強いという印象しかないので。

角福戦争についても、田中角栄視点で書かれた本書を読んで、いろいろと勉強になった。だいたい、佐藤栄作の後継者として角福しかしらなかったけれど、

その年の正月の記者会見で佐藤は問われて、自分の後継者は三人いるだろうと暗示的なことを口にしていた。余人から見れば俺と福田と前尾繁三郎ということだったろう。

ということで、もうひとり、前尾繁三郎という人がいたらしい。宮津中学、東大法学部、大蔵官僚という経歴の人らしい。佐藤栄作も山口中学、東大法学部、鉄道官僚。福田赳夫も高崎中学、東大法学部、大蔵官僚。

田中角栄VS福田赳夫といえば、叩き上げVSエリート、という対立構図の典型例、くらいにしか思っていなかったけれど、前任の佐藤栄作も含めて、田中角栄の周りはエリートだらけだったんですね。

そんな田中角栄の処世術、物事の進め方、人との付き合い方、お金との付き合い方について、本書では随所に散りばめられていて、目を奪われた。

 

何事にも事前のしかけというか根回しのようなものが必要ということ

 

そんなことで仲間内ではいい人間関係が出来てもいった。つまり人の世の中での 賄賂 なるものの効用の原理を悟らされたということだ。それはその後の俺の人生の歩みの中で、かなりの効用をもたらしてくれた

 

資源らしい資源をほとんど持たぬこの国は、軍事力を備えすぎたために経済封鎖に遭い、あの無茶な戦争を起こさざるを得なかった

 

それに選挙の後、佐藤は前尾との改造人事の約束を破り、前尾は利用されただけで終わって、派閥の中での信用は失墜し、領袖の座を大平正芳に譲らざるを得なくなったのだった。

 

今思えば、あの期間の時の流れというのは将棋の名人戦の長丁場のようなものだった。相手の長考の間、俺は小さな歩の使い様までを綿密に考えることが出来たのだ。
結果を得たの上のことかもしれないが、今思い返してみるとぞくぞくするほど面白いものがある。戦国の戦、関ヶ原の戦いなんぞもあんなものだったのだろうな。
調略、はったり、思いがけぬ油断などなどな。

 

政治の出来事には表の通り一遍ではすまぬことが多々ある。要は商売の取引の兼ね合いに似ていることが多い。駆け引きには裏があり、そのまた裏の裏が必ずしも表ではなしにまた違う裏ということさえあるのだ。

 

誰か相手を選ぶ時に大事なことは、所詮人触りの問題なのだ。それについては俺には自信というか確信もあった。そのために俺としては日頃さんざ心遣いをしてきたものだ。
(中略)
ということで、福田に比べての俺の人ざわりにはかなりの差があることはしれていたと思う。
(中略)
党のトップを選ぶ競争では最後は日頃の人間関係がものをいって数にまとまるに違いない。戦の結果は最初からしれていると俺は確信していた。

 

要は人間の肌合いの問題なのだ。

 

いかにも官僚官僚した福田との肌合いの違いということだろう。

 

周首相との喧嘩はすみましたか。喧嘩しなけりゃ駄目ですよ。喧嘩をしてこそ仲良くなれるものです
(※周恩来のこと。毛沢東主席からに言葉)

 

独裁者というのはそんなに心細いものなのか。

 

竹下たちが俺を裏切ったとは思わない。ただ離れていったということだろう。それは所詮彼等にとっての利得の問題、人間の弱さということだ。それを咎める術などありはしまいに。
そして俺はあることを悟った思いでもあた。
“ああ、権力というものは所詮水みたいなものなのだ。”

 

「おお石原君、久し振りだな、ちょっとここへ来て座れよ!」
(中略)「先般はいろいろご迷惑をおかけしてすいみません。」
(中略) 「ああ、お互いに政治家だ。気にするなっ」
いわれてしまったので、
「世の中照る日も曇る日もありますから、どうか頑張って再起なさってください」
(中略)
「まぁ、ちょっと付き合って一杯飲めよ」
(中略)
“これは何という人だろうか”
※田中角栄の金権政治を批判直後、石原慎太郎がスリーハンドレッドクラブでテニスをしていたら、2人がばったり会ったときのやりとり

 

人間の人生を形づくるものは何といっても他者との出会いに他ならないと思う。結婚や不倫も含めて私の人生は今思えばさまざまな他者との素晴らしい、奇蹟にも似た出会いに形づくられてきたものだった。

「人間の肌合い」「人触り」というフレーズがよく出てきて、印象に残った。

『人生がときめく片づけの魔法』の読書感想

スマスマなどでも取り上げられていた、こんまり先生(近藤麻理恵さん)の著書。お家のお片付けの方法論についての本。

こんまり先生によると、お片付けのポイントは、次のたった2つのことだけらしい。

片づけ 法 に、 小 むずかしい 分類 は いり ませ ん。 片づけ で 必要 な 作業 は「 モノを捨てること」と「 収納 場所 を 決める こと」 の 二つ だけ。 大事 なのは「『 捨てる』 が 先」 の 順番 だけ。

近藤 麻理恵. 人生がときめく片づけの魔法 (p.45). サンマーク出版. Kindle 版.

 

これって、まさに「整理・整頓(2S)」のことだなと思って、どんどん読み進めてしまった。いい本。

整理とは、要らないものを捨てること。
整頓とは、定位置と決めて、探す時間をゼロにすること。

製造業だと、2S、3S、5S、6Sと言ったりする。

6Sの中身は、これ。
整理とは、要らないものを捨てること。
整頓とは、定位置を決めて、探す時間をゼロにすること。
清掃とは、私服で座れるくらい隅々までキレイにすること。
清潔とは、身だしなみを整えること。
躾(しつけ)とは、決めたルールを守る習慣をつけること。
作法とは、人として正しく振る舞うこと。

2Sとかは、世界中で通用するフレーズになっているけれど、それがどうすごいかというと
1)日本の製造業がいかに世界のお手本か、ということ
2)日本人がいかに整理整頓(等)が得意か、
ということだと思う。

2Sに加えて、「2S5頓」というフレーズもある。

2S5頓の中身は・・・
2S=整頓、整頓

5頓=定位置、定量、定方向、表示(モノ)、標識(場所)

話をもとに戻すと、こんまり先生も、お片付けのポイントは「整理整頓」と言っているわけで、工場のお片付けだろうと、お家のお片付けだろうと、同じなんだなと思ってしまった。

1.整理のポイント
本のタイトルにもなっているところだけれど、モノを捨てるかどうかは、こんまり先生によると、「ときめくかどうか」で判断すればいいとのこと。面白いわ、今度会社で言ってみよう。ときめかないものは全部捨てろ、と。逆説的だけれど、「整理力がなくって、なかなか捨てられない人」がいるとしたら、「ときめく力がない」と言えそう。

2.整頓のポイント

これは、以下の引用にある通り。

私は収納というと、いかに空間を合理的に使って多くのモノを収めていくかの頭脳勝負だと考える

製造現場だと、立体的に空間を使おう、とかに通じるものがある。板金部品だったら、立てかけろ、とか。

 

立てられるモノはとにかく立てて収納する

と思ったら、ドンピシャのこと言われた!これは、衣服とかのお片付けの文脈で出てきたんだけど、笑ってしまったわ。

とにかく、「まずは捨てる」を終わらせる。それができれば、モノの定位置を決めるのは簡単

まずは、「ときめき力」をアップさせて、捨てまくるべし。

あなたが持っている収納、今あなたの部屋にもともとついている収納、これは 完璧 だと思ってください。今まで収納が少なくって……という悩みや不満は数えきれないほど聞いてきましたが、本当の意味で収納が少ない家という結論に至った家は一つもありませんでした。ただ、いらないモノを持っているだけ

 

これはお家でも製造現場でも言える。すぐ「場所がない」と思ってしまうけれど、僕の経験上、100%、冷蔵庫の法則にハマっているだけ。

 

なぜすべてのモノの定位置を決めるべきなのかというと、一つでも住所不定のモノがあると、散らかる可能性が一気に高くなるから

その通り。迷子ちゃんが出てくると、ざわつくんだよな。

 

 

そして、これだけ持っているにもかかわらず、いつも「足りない」「ストックが切れたらどうしよう」という不安を感じている

これは、製造業だと「在庫を持つな」というJIT神話にも通じる。こんまり先生によると、「すぐ手に入るのだから、必要になったら、その時買ったらいいじゃない」ということだった。

 

空間は過去の自分ではなく、未来の自分のために使うべきだと、私は信じている

 

まったくとの通り。お家にある過去の思い出(製造現場の在庫とか保管)のためではなく、未来の自分のため(未来のキャッシュフロー創出のため)に場所は使うべき。

 

 

この段ボール分のスペースが、その人が生きているときに空間として存在していたのなら、どれだけ一日一日が豊かになっていただろう

 

まったくその通り。あの材料在庫、はやすぎた先行投入の結果積み上がった仕掛の山が、キャッシュフローに直結するビジネスのための空間として利用できていたら、どれだけ業績がよかったことだろう。

 

・電化製品の外箱 「売るときに箱があったほうが高く売れるから」という考えは、はっきりいって損です。箱をとっておいてある大事なスペースをたんなる物置で使ってしまうほうが、家賃として考えれば高くつきます

この考え方なんか、TOC(Theory Of Constraints、制約に関する全体最適理論)と合い通じるものがある。

 

 

誰でも、自分のコーナーがあるというのはうれしいもの。「ここは自分だけの場所」と意識できると、きちんと管理したくなるもの

 

これなんかを読むと、エリアごとの管理責任者を決めることの重要性を痛感する。

お家も、会社も、整理整頓が行き届いていないと、「うるさい感じ」がする。必要なモノを、必要な量だけ、必要なタイミングで持つ、というのが、公私ともに幸福になるカギではなかろうか。僕は、適度にしか物欲がないのだけれど、たぶん、ムダなものを持って、場所を圧迫して「うるさい感じがするお家」にしたくないからだと思う。これは、工場のマネジメントでも同じなんだと思う。

 

「足ることを知るから」ではないでしょうか。  片づけをしたあと、多くの人が「物欲が減った」といいます。それまではいくら服を持っていても「今日着る服がない!」と思っていたように、いつも不足感を感じていたけれど、片づけをしてときめくモノだけが残って

 

『奴隷のしつけ方』の読書感想

 

ローマ時代の奴隷制度についての本。

代々奴隷を使ってきたというある古代ローマ人貴族が、奴隷の管理方法・ノウハウについて語り、章ごとに、それを現代人でケンブリッジ大学の教授が解説していく、という体裁の本。実際の著者はケンブリッジ大学の教授で、古代ローマの奴隷制度についての研究者。昔の文献から読み取れるエピソードなどを、「ある古代ローマ人貴族」の口調で語らせていて、けっこう読ませる。引き込まれる。

「奴隷」という表現は過激だけれど、古代ローマ時代の奴隷は、現代人のイメージほどにには虐げられていなかったようだ。

例えば、古代ローマにはサトゥルナリア祭という祭があって、この期間だけはローマ人の主人も奴隷も関係なく、連日バカ騒ぎをしていたらしい。この期間は、

主人と奴隷といった関係が普段の逆になる

ジェリー・トナー マルクス・シドニウス・ファルクス. 奴隷のしつけ方 (Kindle の位置No.1946). . Kindle 版.

 

・・・といった具合で、遊び心もあったようだ。

原題は”how to manage your slaves”。現代社会でも、上司が部下の管理をする上で参考になりそう、ということで、読まれているようだ。古代ローマの奴隷は、現代人が思うほど奴隷扱いされていなかった、という言い方もできそうだし、現代人も奴隷のような生活を送っている人もいる、という見方もできそう。

あとがきで、この本を読めば、

どう すれ ば 奴隷 が よく 働く か、 奴隷 を どう 扱う のが 最適 か、 奴隷 という 資産 から 最大 の 喜び を 得る には どう す べき か

ジェリー・トナー マルクス・シドニウス・ファルクス. 奴隷のしつけ方 (Kindle の位置No.2983-2984). . Kindle 版.

・・・といったことがわかるようになる、と書いてある。「奴隷」を「部下」という文言に置き換えて本書を読んでいる人が多いから、売れているっぽい。

『筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』の読書感想

 

社長業をしているらしい著者が、筋トレの素晴らしさについて、おふざけ口調で語っている。共感することばかりが書いてあった。

3年前にライザップをやって以来、僕自身「筋トレ!タンパク質!ダンベル!プロテイン!ばんざい!」みたいになってしまったので、とってもたのしい本だった。

土曜 早朝 に 筋 トレ し てる ヤツ は 本物

Testosterone. 筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 (Kindle の位置No.1049-1050). ユーキャン. Kindle 版.

だって、花金でも飲まずに早く寝てるってことなんだぜ、とか。

 

著者のブログもツイッターもあるみたい。読み始めたら、いつまでも読んでいられるわ、これ。もう、忙しいのに。

https://ameblo.jp/badassceo/

『コンビニ人間』の読書感想

 

いやこれはかなり面白かった。2016年の芥川賞だって。

主人公は、ちょっと変わった子として家族からも半ば諦められている36歳。18歳のとき始めたコンビニのアルバイトに喜びを感じ、大学卒業後もずっとそれだけを続け、いつの間にか36歳になってしまっていた、という設定。結婚もしていないし、異性と付き合ったこともないままに。とにかく、「変わった子」。

周りは、なんで独身でコンビニのアルバイトを36歳までやってるの、と不思議がる。でも自分ではおかしいとまったく思わない。「変わった子」だから。

「変わった子」が18歳でコンビニのアルバイトを開始したときに、

 

そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。私は、今、自分が生まれたと思った。世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった。

・・・と思ったらしい。それで、それをずっと続けているうちに、36歳になってしまった、と。周りがなんといおうと、自分としては36歳まで大学卒業後にコンビニのアルバイトを続けていることは、変だとおもっていない。

朝になれば、また私は店員になり、世界の歯車になれる。そのことだけが、私を正常な人間にしているのだった。

そんな36歳の主人公に、転機が。コンビニのアルバイトの男性と同棲することに。そのいきさつも、わけがわからないのだけれど、とにかく面白い。同棲することで、周りが納得、というか、良かったね、みたいな反応を示すのをみて、あぁそうか、「普通の人」は、そう思うんだ、とか思ってしまう主人公。「変わった子」は、じゃあ、カムフラージュに同棲続けてもよいかな、と思ってしまう。

という感じのストーリー。面白い。小説もたまには読もう。

 

『外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」』の読書感想

 

これは超良書だった。たぶん読み返すと思う(=最高の褒め言葉)。

まず著者のプロフィールは、

山口 周( や ま ぐち しゅう) 1970 年 東京都 生まれ。 慶 應 義塾 大学 文学 部 哲学 科 卒業、 同大 学院 文学 研究 科 美学 美術史 学 専攻 修士課程 修了。 電通、 ボストン・コンサルティング・グループ、 A. T. カーニー 等 を 経 て 2011 年 より 組織 開発 を 専門 と する ヘイグループ に 参画。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.3308-3311). . Kindle 版.

大変素晴らしい経歴で、しかも相当な読書家ですね。文学部の院卒って、こんな感じの読書家ばかりなんですかね。ことあるごとに、歴史上の偉人の本からの引用が。名前とタイトルは知っているけれど、ほとんど読んだことがなかったよ、恥ずかしながら。カール・ポパーの『果てしなき探求』とか。この人より読書量が多い人は、そうはいないと思う。

で、その博識を、知的生産活動にちゃんと活かしてビジネス活動をやっていそう。会ったことがないけれど、本を読めばそういうのってわかるよね。この人とコーヒーでも一緒に飲んだら、きっとすごい楽しいだろうな、って思わせてくれる感じ。僕自身も、人からそう思われるような人になろう。そのためには、たくさん読書しよう。

本は冒頭、「知的生産をするとき、なにからはじめますか?」という問いかけから始まる。著者の答えは、「知的生産の戦略策定」いうことで、やみくもに情報収集してもしかたない。というところからはじまる。戦略策定とは、

知的 生産 において は「 顧客 が すでに 持っ て いる 知識 との 差別化」 が 一番 大きな 問題 になり ます。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.153-155). . Kindle 版.

 

具体的 には「 新し さ」 を 出す には、「 広 さで 出す」 のと「 深 さで 出す」 のと、 二つ の 方向性 が あり ます。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.166-167). . Kindle 版.

ということを考えましょう、と。次に、以下の3つを考えましょう、と。

 

  1. 顧客の明確化=そもそも「顧客は誰?」を明確化しましょう、と。差別化というけれど、「具体的に、誰が持っている知識とかぶらないようにしたらいいの?それによって、誰に付加価値を届けるの?」ということを考えましょう、と。
  2. 顧客の期待する品質の把握
  3. 正確な予算、納期

つまり、顧客の期待値をコントロールしましょう、と。

よく「 あいつ は 仕切り が いい」 とか「 あいつ は 仕切り が 悪い」 という 言い方 を し ます が、 仕切り という のは 要するに 期待値 コントロール の こと なの です。

山口 周. 外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) (Kindle の位置No.285-287). . Kindle 版.

プロジェクトをすすめる時にも、大変参考になる。で、実際の知的生産をやったら、ちゃんと「ポジション」をとりましょう、と。

「ポジション」とは、要するに自分なりの結論。ただ、科学研究とかと違って、ビジネスで行う知的生産は、結論から変わりうる。限られた時間の中で、限られたリソースの中で、ベストというか、よりベターな回答をつくって、それをちゃんと大声で発表しましょう、と。あとで間違っていることがわかることになるかもしれないけれど、それを恐れてはいけない、と。ビジネスで行う知的生産は、そういうものだから、と。

 

いうまでもなく、いつまで経ってもそんなタイミングは来ません。経営はアートであって自然科学ではありません。ビジネスの世界には不変の法則などというものは存在しませんし、プレイヤーや顧客の状況は川の流れのように常に変化していて流動的です。そのような流動性の中にあって「最終的解答」などというものを探し求めるのは無茶を通り越しています。ポジションというのは常に、その時点でのベストエフォートにならざるを得ないのです。

 

「過ちては改むるに憚ること勿れ」ということかな。

 

本の後半では、読書術が。これも勉強になったので、箇条書きにまとめてみる。

  1. 著者は、evernoteでメモしているらしい。一冊9コまでにしているらしい。それを膨大な本についてやっていて、これを知識の「イケス」と呼んでいるようだ。僕がblogに読書感想を書き出しているのと似ている。
  2. どういう本を読むべきか?という話。割りと、興味の赴くままに読んだらよいのでは?ということが書いてあった。鉄板本をしらみつぶしに徹底的に読んでも、ぜんぜん頭に残らなかった、と著者自身がいっているが、これは同意。
  3. ある分野については、3~5冊も読めば十分といっていたが、これも同意。それ以上読んでも、限界効果が逓減する。

 

 

最後に、印象に残った言葉を。

人は、いくら合理的な理屈で説得されても、本当に共感しなければエネルギーを全開にできません。これは意識的なコミットメントレベルというよりも生理的な反応の問題であって、要するに人間という生物はそういうふうにできているということです。人のエネルギーを高レベルに引き出して方向付けるというのはリーダーの核となる役割ですが、そのためにも「説得ではなく納得を、納得ではなく共感を」目指すことが求められま

 

人は、道徳的に正しいと思えること、社会的に価値があると思えるものに自らの才能と時間を投入したいと考えるものであり、

いや、本当にいい本でした。また読み返します。

良い習慣2018

充実した人生は、高い能力によってもたらされる。高い能力は良い習慣によって磨かれる。良い習慣を持とう。

  1. 健康管理
    1. 筋トレ、週2回。今年はマッチョを目指す!
    2. お酒は、社交でしか飲まない。これのおかげで夜の時間がすごく増えた気がする。体にも良いし、本もたくさん読めるし、朝スッキリ起きれるし、いいことしかありません!
    3. コーヒーは一日400mlまでが適量らしいので、朝と昼の二回だけにした。あとは、水。
    4. 1日8時間睡眠。夜9:30に寝て、朝5:30に起きる。
  2. 頭を鍛える
    1. 読書感想をブログに書く
    2. 英語
      1. Podcastを聞く。NHK、CNN、BBCあたり。
      2. 毎日NHK英語ニュースを読む。
  3. お金の管理
    1. 『家計3表生活防衛術』で学んだ方法をずっと続けている。ただの家計簿だとキャッシュフローにしか注目していない。バランスシートでお金(というか資産全体)を管理しましょう、ということ。
  4. デジタルデバイス
    1. 使う
      1. iphone X
      2. thinkpad x1 carbon 2017
      3. ガラケー
      4. ポケット手帳&ボールペン
    2. 使わない
      1. ipad pro
      2. kindle paperwhite

 

(参考)

良い習慣2016

良い習慣2011

『鴻海・郭台銘 シャープ改革の真実』の読書感想

 

売上15兆企業を一台で築いたTerry GouがSharpを買収したときの話。毎日新聞の記事をまとめた本らしい。

Terry GouがSharp買収に目をつけたのは、このニュースによるところが大きかったようだ。

2015 年 11 月。 スマート フォン を 巡る ある ニュース が 世界中 を 駆け 巡っ た。「 アップル が 2018 年 に 発売 する アイフォーン( iPhone) の 画面 に、 有機 E L( エレクトロ・ルミネッセンス) を 採用 する」 という ニュース だ。 「液晶 を 使い 続け て き た アップル が ついに 新 技術 を 使い 始める」   関係者 の 衝撃 は 大きかっ た。

毎日新聞経済部. 鴻海・郭台銘 シャープ改革の真実 (Kindle の位置No.108-111). 毎日新聞出版. Kindle 版.

実際は昨年2017年11月発売のiphone Xで有機ELが採用された。高価格すぎて売れ行きは悪いようだが、僕にとっては過去最高のiphoneですよ、これ。めちゃくちゃキレイですよ、これ、画面。plusより小さくって軽くって画面は大きいから、読書に最適。電池も相当つかいまくっても一日ゆうにもつ。kindleアプリでの読書量が増えてます。

というアップルの広告はこれくらいにして。

有機EL以前に、液晶の技術もまだもっていなかった鴻海は、アップルになんとかして液晶の納入をしたいと考えていたようだ。アップルは、液晶については、LG、シャープ、JDIの3社購買をしていたようだが、4社目として割って入りたかったということのようだ。

 

アップル は スマート フォン や パソコン の メーカー だ が、 実態 は 製品 の 企画 会社、 デザイン 会社 に 近い。 部品 製造 や 組み立て などは 外部 企業 に 委託 し て いる。 部品 が 調達 でき なく なる リスク を 減らす ため、 複数 企業 に 分散 発注 する システム を 構築。 液晶 パネル は 韓国 の LG ディスプレイ、 シャープ の ほか、 ソニー と 東芝、 日立製作所 の 液晶 部門 が 統合 し た ジャパン ディスプレイ( JDI) から 仕入れ て いる。   だが、 有機 E L を 量産 できる 企業 は まだ 少なく、 複数 からの 調達 は 難しい。 アップル の 有機 E L 採用 宣言 は 液晶 を 供給 する 企業 に対し、 2018 年 までに 有機 E L の 量産 体制 を 整える よう に 迫る 大 号令 でも あっ た。

毎日新聞経済部. 鴻海・郭台銘 シャープ改革の真実 (Kindle の位置No.118-124). 毎日新聞出版. Kindle 版.

液晶の技術開発に加えて、有機ELも技術開発しなくてはならない。その投資金額を資産したら、3000億となり、ならば、シャープを買収しよう、と思ったらしい。

 

鴻海自体は、

位置: 221
成長の源泉は「世界の大手電機メーカーの黒衣に徹する」というビジネスモデル

 

位置: 967
自社向け生産が中心の垂直統合よりは、部品を低価格で調達し、さまざまなメーカー向けの製品組み立てに徹する「水平分業」のビジネスモデルが、量的にも価格的にも圧倒的な競争力を持ち始めていた

という経営方針で巨大化していたけれど、次の一手としては、

位置: 269
これまでソニーや任天堂のほか、米アップルなど世界の名だたるグローバル企業と製品の受託製造契約を結び、業績を拡大した。その半面、商品自体を一から研究・開発した経験は乏しく、自社ブランドも持たない。そんな鴻海が「次への飛躍」のために目をつけたのが、革新的な技術を世に問い続けてきたシャープの買収だった

脱下請、ということを考えたということか。将来的にはブランドメーカーとして消費者市場の全面の出て来る戦略なのでしょうか?

 

『新1分間マネジャー――部下を成長させる3つの秘訣』の読書感想

 

はいこれもいい本。『チーズはどこへ消えた?』と同じ著者で、短いのでさらっと読める。非常に的を得た、心に刺さる言葉がたくさんあった。いくつかメモ

 

位置: 778
についてどう感じているか伝える。そしてもっとやれるはずだと励ます。要するに、悪いのはパフォーマンスであって、〝人間そのもの〟ではないということです

位置: 790
マネジャーがめざすべきは、部下自身が自分のマネジャーとなり、そのことに喜びを覚えるようにすることです。マネジャーがいなくても成功できるようにすることです。

位置: 801
ミスが問題なのではありません。ミスから学ばないことが真の問題なのです

位置: 805
1分間修正の目的は、部下に学びを促すことです。けれど学ぶことは学び、〝やればできる〟のは確かなのに、それでも〝やる気がない〟部下であるなら、組織に与える損害を考え、そんな人物をチームにとどめておく余裕があるかどうかを考えるべきでしょう

 

位置: 821
いいえ、〝自分のために〟働くのです。チームのみんなと同じようにね。本心から他人のために働く人などいないでしょう。心の奥底では、みんな自分のために働きたいのです。

 

 

類似本は

『はじめての課長の教科書』

『人を動かす』

 

『チーズはどこへ消えた?』の読書感想

 

これもいい本。短いので、さくっと読めてしまう。

2人の小人と2人のネズミが、迷路の中でチーズを探すという寓話。チーズは、「自分にとって大切な何か」を象徴していて、2人と2匹の登場人物は、それぞれ性格が違う。

チーズが突然なくなってしまう。ずっとそこにあって、当然のモノだったのに。そのことに2人と2匹は動揺するのだけれど、その後の行動が違う。2匹のネズミは、単純に他のチーズを探しに行く。小人は、なぜチーズがなくなったんだと怒ってみたりする。怒ったところでチーズが戻ってくるわけではないのに。そのうち一人の小人は、次のチーズを探しに行く。

次のチーズにありつくのが一番はやいのは、2匹のネズミ。真っ先に動いたからね。小人の一人も、遅ればせながら、次のチーズを見つける。動かない小人は・・・?

チーズは「自分にとって大切な何か」を象徴して、それが突然なくなったときに、どう動くとどうなるかを、2人の小人と2匹のネズミのリアクションを通じて、僕達に想像させてくれている。

それは自分にとって大事な仕事?家族?友達?大切な何かは突然なくなるかもしれないけれど、変化を受ける勇気が必要だ、という話。

いまるチーズが無くなってもチーズはそこらじゅうにあるし、迷路の中に見を投げ出すのは怖いけれど、新しいチーズ、探しに行こう、という気持ちが大事。

昔読んだ、下記の本を思い出した。

『なぜ私だけ苦しむのか』