学問(learning)

PrincetonのPhD候補生のblog発見

yyasudaさんの,ECONO斬り!!というblogを通じて,これからの経済学を担う期待の若手13名を知った(13人のリストは,こちらにも紹介されている).

彼らの仕事の多くは
「シンプルな理論(あるいは仮説)を膨大なデータと統計的な手法を用いることによって実証的に検証する」
というスタイルです。

これからは応用/実証系の学者が本格的に経済学を引っ張って行くようになるのかもしれません。

計量経済学そのものの発展,コンピュータの発展,データが整備&公表されてきている,プログラムさえ書ければなんでも出来る,というここ最近の時代の流れを考えれば,当然の方向なのかもしれないが,計量経済学を専門にしようとしている僕としては,うれしいニュース.
あと,このblogの別のエントリーで,

あと、これは自戒をこめてですが、理論系の論文を書く際にもなるべく現実のデータをみましょう!自分の思い込みの「現実」を説明するための理論をいくら一生懸命考えたところで、その「事実」が実証的に間違っていたら誰も読んでくれません(笑)

と書いてあって,うれしくってたまらなかった.「理論なき計測」は絶対にダメだけど,「計測なき理論」はOK,みたいな変な風潮がうちの大学にあることを感じていたので,「計測なき理論」だってダメだよ,みたいなことを言ってくれているこの文章を読んでうれしかった.
でも実は僕は,「理論なき計測」も,「計測なき理論」も,どちらも良いと思っているんだけど.「理論なき計測」は,ひたすら観察事実を蓄積しまくるので理論家が理論を思いつくインプリケーションになるだろうと思う.一方,現実のデータを変に意識して,思考が縛られた状態で理論があまり量産されないよりは,「計測なき理論」で,自由な思考で理論を量産して,結果的にどれか一つくらい,実証に耐えられる理論が出現してくれればいいんじゃないかな,とか思っている.
国内にいる僕としては,こうやってアメリカのトップスクールでPhDをやってる人の日常をネットで無料でみられるというのは,非常にありがたい(本当にありがたい!).もっと目を世界に向けないと.経済学の世界で生きるには,日本にいると視野が狭くなってしまう.僕の場合,もう国内博士課程はもうほぼ考えていないので,留学or就職なんだけど,情報は多いほうがかえって意思決定が難しくなるな~.ほんと,留学どうしよー・・・.

PrincetonのPhD候補生のblog発見” への6件のフィードバック

  1. トラックバックどうもありがとうございます!
    >「理論なき計測」も,「計測なき理論」も,どちらも良いと思っているだけど
    分野にもよるでしょうが、例えばIOでは「計測無き理論」はかなり出尽くした感があります。そこで、膨大な数の理論の妥当性をチェックするために実証研究が活躍しているといった印象です。理論モデルと親和性の高い構造推定が好まれるのも、既にIOでは膨大な理論研究があるという事情が背景にあるからかもしれません。

  2. yyasudaさん,
    コメント,ありがとうございます.
    >そこで、膨大な数の理論の妥当性をチェックするために実証研究が活躍しているといった印象です。
    そうですか!僕の趣味は「膨大なデータをねじ伏せて統計的に遊び倒す」ことなので,本当にうれしい限りです.計り屋(そんな言葉あるのかな?理論家の反対用語っぽく言ってみたけど)の時代になるのかなぁ.
    yyasudaさんはシュウカツ中のようですが,がんばって活躍してください.これからもblog楽しく読ませていただきます.

  3. 初めまして。yyasuda blog のトラックバックをたどって来ました。投稿者名を見てピンと来なかったら、経済学大学院留学ガイドの作者と自己紹介すればわかってもらえるかな?
    留学か就職かで迷っているみたいだけど、留学は楽しい、ということを伝えておきたいと思います。過去のエントリーに書いてあった通り、精神的にタフな世界です。でも知的な刺激を日本にいたら絶対に味わえないレベルの濃密さで体験できます。生活面でも日本にいたときには想像もしなかったことがどんどん起こります。新しいことを知る・体験するということが好きならば留学はお薦めです。いばらの道であることは否めないけれど、歩いてて面白い、エキサイティングな道です。例えるなら、振り子の振れ幅が右にも左にも非常に大きい生活になります。日本だとおそらく右にも左にもあんまり振れない生活じゃないかと思います。決断する際には、留学のマイナス面ばかりに目を捕われないで下さい。

  4. もう一言。「これからの経済学を担う期待の若手13名」がやっている実証研究は、凝った計量経済学を使っているわけではないです。例えばGMMで実証をしている人はこの13人の中に多分いないんじゃないかな。この13人がすごいのは、OLS推定量が consistent であるための仮定が満たされるような状況を見つけ出す、ないし作り出す、ところにあります。そして、研究トピックが非常に面白く重要であるという点です。
    そういう意味で、純粋な計量経済学とは多少違います。正直な話、計量経済学そのものが専門な人は、この13人をあまりいい思いで見てないんじゃないかと思います。

  5. kudamatsuさん,
    コメントありがとうございます.「経済学大学院留学ガイド」とそこにあったリンク先は,留学情報収集の上でかなり助かりました.励ましのアドバイスも,ありがとうございます.留学は大変だけど,反面,すごく楽しい,というのも感じています.
    >例えるなら、振り子の振れ幅が右にも左にも非常に大きい生活になります。日本だとおそらく右にも左にもあんまり振れない生活じゃないかと思います。
    これは,その通りですね.日本にいたら,平穏安泰です.留学はハイリスクハイリターンということですかね.
    もうちょっと悩んでみます.相談があったら,メールしてもいいですか?

  6. kudamatsuさん,
    >この13人がすごいのは、OLS推定量が consistent であるための仮定が満たされるような状況を見つけ出す、ないし作り出す、ところにあります。
    確かに,GMMみたいな高度な方法を使わなくっても,直交条件を満たすような状況を作り出せれば,OLSで良いわけですからね.彼らの発想(ということは,これからの応用計量のメインストリーム)は,
    ・計測方法はシンプルでいいじゃないか
    ・漸近理論万歳(今後データ整備が進みサンプルサイズが増えていくことで漸近理論を適用することは正当化されていく)
    という感じなんでしょうか.

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