『市場効率性の時変構造』というディスカッション・ペーパーが完成しました.というわけで,論文の宣伝.以下より無料でダウンロード可能です.
http://www.sugi-shun.com/papers.html
この論文は,今年6月17日(日)の日本ファイナンス学会,第15回大会@慶應大学三田キャンパスで報告予定です(確か午後の部だった気がする).興味のある方はぜひ.
ところで,「お前のblogは難しすぎる.意味不明.」という指摘を何人かに受けた.尊敬される専門家とバカにされるオタクの違いは,「自分のやっていることを,その分野の素人にも分かってもらう気があるかどうか」だと思う.オタクもいいが専門家のほうがもっといいので,もっとみんなに分かってもらえるように努力します.
というわけで,論文を,素人向けに説明をしてみよう.
論文の主張は,「株の動きの予想がカンタンな(したがって儲けやすい)時代と,難しい(したがって株で儲けにくい)時代がある」ということです.
この研究によれば,例えば次のようなことが分かった.
・戦後もっとも株価の予想がカンタンだったのは,1960年頃,1973年頃,1987年頃の3つの時期!逆に,株価予想がもっとも難しかったのは,1992年頃!
・アメリカと比べると,日本のほうが株価は予想しやすい!
株価は予想可能かどうか,という研究は,これまで学者たちは大量にやってきた.大量にやってきたくせに,予想可能かどうか結局,学界は答えを出せていない.
答えを出せなかった原因は,これまでの研究では,「株価は予想可能」or「株価は予想不可能」のどちらか一方のみが真実で,もう一つは偽だと考えていたからだ.
物理学で,「摩擦0の世界」を考えるけど,現実にそんな世界はどこにもないことはみんな知っている.同じように,経済学で「株価が100%予想不可能な株式市場」を考えるとしても,現実にそんな世界はどこにもないのだ.だからといって「株価は完全に予想可能」な世界もどこにもない.
灰色を見て,「これは黒よりは白に近い」と思う人もいれば,「これは白よりは黒に近い」と思う人もいる.そういうときに重要なのは,「どれくらい灰色なの?」という相対的な問題を考えることである.
だからこの研究では「どのくらい灰色なの?」という問いを設定した.昔よりは今のほうが株価は予想しやすい,とか,アメリカよりは日本のほうが株価が予想しやすい,などの,相対的な問題を扱うことにした.
こういう相対的な比較を行なった研究はこれまでないので,そこがこの論文の貢献部分です.
コメント
あはは☆なるほど~たしかにオタクとその分野に詳しい人の違いは大きいかもね笑。計量とか数学もあるし簡単に説明するのはなかなか大変だと思うけど難しい事をなるべく簡単に説明してくれたほうがありがたいねぇ~というかオタクにならないで笑笑@@