株安ニュースを見て,中身が完全に対立する二つのレポートをテキトーに書いてみる.
Bull(強気)の立場
今朝起きたら,ダウ平均が下げている,というニュースが飛び込んできた.その余波は日本にも来るだろうとみんな考えたはずだが,実際そのとおりになった.今日の日経平均の下落が,「みんなが思ったことは実現する」,という心理的要因に過ぎないのか,あるいは,実際にファンダメンタルが下げているのかは明白.前者に過ぎない.これは市場参加者の根拠なき弱気でしかない.根拠はないのだ.その証拠に,為替相場は,世界同時株安を受けて円高に動いた.これは米国と比べたときの相対的な日本の先行き期待感を示している.よって,この下げは一時的で,むしろいまこそ「買い」だ.すぐに回復する.
Bear(弱気)の立場
今朝起きたら,ダウ平均が下げている,というニュースが飛び込んできた.グローバリゼーションのご時世,世界中のマーケットは繋がっている.ダウ平均に続き,日経平均株価も連鎖的に下げた.ただしこれはきっかけでしかない.先日の日銀の利上げニュースおよび追加的利上げ観測がその本質である.これによって債券などの株式以外の証券の相対的な魅力が高まるだけでなく,企業の投資コスト増から来る景気先行き不安感から,潤沢な資金は株式市場から引き上げつつある.さらに日銀および安倍政権に対してその能力の欠如を不安視する声が高まることが予測されることから,この下げはしばらく続くものと思われ,いまこそ「売り」だ.
テキトーに書いたつもりだけど,それなりに説得的な気もするが,どうでしょう.ところで,今朝,テレビ東京でドイツ証券の武者さんが株安についてコメントしていた.強気の予想だった.今年の終わりには,日経平均は,2万2000円くらいいくって予想だった.ネットでこの人の評判を調べると,「この人は悲観論者」「この人の分析は当たらない」という感じの意見多数.悲観論者が強気ということは,今年は下げるのであろうか?
http://onimanju.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_f52e.html
http://blog.livedoor.jp/ken122876/archives/50211571.html
http://live9.2ch.net/test/read.cgi/stock/1085824538/
http://www.asyura2.com/2002/hasan13/msg/485.html
で,実際に武者さんのコメントが書かれている記事がこれ.
http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/money/savvy/061016_musha1/
もう少しくわしく解説しましょう。2000年代、世界経済を牽引(けんいん)する先進国企業は非常に恵まれた環境にあります。この環境をつくり出しているのが、低い労働コストとインターネット革命。インドや中国など新興国の台頭により、先進国企業は、優秀な労働力を安価で利用できるようになりました。これに加えてインターネットの普及が、労働コストと資本コストを抑えることに大きく寄与しています。生産性の向上に牽引された経済成長が世界的に持続している状態です。
経済先行き期待感の根拠を,部分的にではあれインターネット革命に帰するのは,慎重に考えたほうがよいと思う.インターネットの登場で,これまでには考えられ無かったくらい大幅に仕事の効率性があがって経済が成長する,という考え方は,なるほど尤もらしい.でも,本当かな?
これまで,人類はすごい発明はいっぱいあった.鉄道,自動車,電話,ファックスなどなど,あげればきりがない.いままでのこれらのすごい発明に比べて,インターネット革命がどの程度すごい発明かというと,いくらネットがすごいとは言え,「それほど突出したものではない」のではないだろうか.そうであれば,少なくとも,「過去に経験したことがないくらいの経済成長がインターネットによって可能,とは考えられない」というべきだと思う.
とは言え,ネットの進展と,経済成長を結び付けたいのは分かる.ネット大好きな僕も,結び付けたい.けど,実際にどの程度寄与しているのかは,慎重になったほうがいいと思う.
コメント