連休中に,今日の日経平均株価指数の終値の予想をした(ここ参照).
予想:17388.77円
現実:17621.45円
・・・というわけで,ぜんぜん外れました.株価は下落するという予想だったが,逆に上昇した.しかも,
東京株式市場は、3営業日続伸。日経平均は終値で昨年来高値(2006年4月7日終値1万7563円37銭)を更新。日経平均終値は、前営業日比117円12銭高の1万7621円45銭となり、2000年5月10日(終値1万7701円47銭)以来、約6年9カ月ぶりの高値水準となった。
東京株式市場・大引け=3日続伸、日経平均終値は約6年9カ月ぶり高水準
,朝日新聞
とあるように,2000/5/10以来の高値水準となった.
予想が外れたといったが,他のモデルを使えばあたっていたかもしれない,という考え方もあるだろう(例えば,ARMAモデルではなく,ARCH型モデルなどをなぜ使わなかったんだ,とか).しかし,他のモデルを使ったとしても,たぶんあたらなかったんじゃないかな,と思う.
また,使ったデータが多すぎる,という意見もあるかもしれない.直近の1年分くらい使えば十分で,35年以上もの膨大なデータを使わないほうがいい,という人もいるかもしれない.しかし,僕はこれについても懐疑的だ.
経済学や時系列分析の知識をどんなに駆使しても,明日の株価予測なんて出来ない,と僕は思っている.そうすると,経済学に対する失望が聞こえてきそうだが,逆だ.どういうことかというと,「株価にはあらゆる情報が織り込まれているからこそ予測は不可能なのであって,それだけ市場は万能・効率的なのだ」と学者はむしろ考える.「もし株価予想が可能だとすれば,誰かがその儲けるチャンスでちゃっかり儲けているはずで,そんなチャンスが転がっているはずがない」という考え方だ.これは,「経済主体は効用最大化・利潤最大化するはず」という経済学者の前提に基づいている.つまり,人はみな合理的だという経済学者の頭を支配している概念と整合的なので,むしろ経済学者は「株価は予想不可能」という考え方を歓迎するのだ.
「どんなモデルを使ったとしても,常に予想を当て続けることなど出来ず,市場を打ち負かすことなどできない」という学説があって,これを市場効率仮説と呼ぶ.
今回の予測では,日経平均の予測をするのに,過去の日経平均データのパターンを統計的に抽出する方法をとった.このように,過去の株価を見るだけでは将来予測が出来ない場合,弱度の市場効率仮説が成立しているという.
また株価に影響を与えうるあらゆる経済変数(例えば,金利,企業の業績発表情報,景気指標,などなど)をつかってモデルをつくっても,予想は不可能な場合,準強度の市場効率仮説が成立しているといいう.
さらに,強度の市場効率仮説は,インサイダー取引のように,特別な情報に基づいても株でもうけられない,と主張する.
経済学者は,弱度の市場効率仮説はほぼ現実に妥当していると考えているが,強度の市場効率仮説までもが現実に成立しているとは考えていない.準強度の市場効率仮説の妥当性については,「意見の一致が得られていない」という感じだと思う.
市場効率仮説みたいな学説は,経済学者の「市場への絶対なる信頼」がベースにある.この仮説にまつわる実証分析は1990年頃まで膨大に行われたが,結局,テクニカルな問題もあって,決着がつかないまま,「学者はこのテーマにみんな飽きてしまった」という印象を持つ.
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