僕のような法律オンチにはありがたい本。法律知識も、ビジネスパーソンとして成功するには必須かなって感じたんで、読んでみた。
まず憲法。「個人の権利の尊重」がもっとも大切だよ、とかって話から始まって。それを守るために、お上を制限しているのが憲法です、とか。精神的自由と経済的自由によって、二重基準で憲法を適用するよ、とか。
次、刑法。刑法の中でも「総論」は極めて精緻な理論体系なんだって。数学使わずに、文章だけで完璧な論理を構築できるなんて、信じがたいが・・・。「要件」と「効果」。「人を殺す」という要件があれば、「~という懲役の処する」という効果が発生する、とか。犯罪が成立するには、「実行行為」「結果」「因果関係」が必要。裁く法律がなければ裁けないっていう「罪刑法定主義」。「構成要件」「違法性」「責任」。
民法。私法の一般法。口約束だけでも契約は成立する、とか。
商法。民法の特別法。会社法とか有価証券法とかも商法の範疇。「株主総会」「取締役会、代表取締役」「監査役」。「名板貸し」するといろいろめんどくさいって話。
刑事訴訟法。真実発見を目的としていない。無罪推定の原則に、物的証拠から独自の仮説を立てる検察のストーリーを鵜呑みにしてはいけない。事実をどう認定するかが重要。結果としてクロと判明すればいい、という発想では、捜査機関は違法行為やり放題になるので、違法行為によって得た証拠は無効。被疑者を起訴できるのは検察だけという国家基礎独占主義。さらに、基礎便宜主義。これは、犯罪事実が明らかであっても、起訴するかどうかは検察が決められるってこと。刑事訴訟の場合、控訴や上告しても、上に行くほどひっくり返すのは難しい。第一審が勝負。
民事訴訟法。意外な感じがするが、民事訴訟法って、お上と国民の間を規律した法律。処分権主義。訴訟を提起するかどうかは、あなたが決めることが出来る。訴えの内容も、あなたが決めることが出来る。訴訟の終了(取り下げ)も、あなたが決めることが出来る。お上は必要以上のしゃしゃりでない。その心は、人権の尊重。争いのある事実は、当事者が主張し立証したもの意外は、判決の基礎としてはいけません、という弁論主義。民事訴訟法も、やはり真実発見が目的ではない。裁判所は、原告と被告の間で、争いのある点について主張してもらって、その部分だけについて判断するてこと。
『伊藤真の憲法入門―講義再現版』もいい本だけど、本書はこれ一冊で六法全部カバーしてるんで。
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