うーん。これは完全に期待外れでした。以前読んだ数に強くなる (岩波新書 新赤版 1063)が面白かったので、同じ畑村洋太郎さんの本ということで、読んでみたんですが、残念です。正直、まったく薦められません。想定読者に僕が入っていないだけかな、とも一瞬思いましたが、誰が読んでもためになるとは思えません。
一応内容を紹介しておくと、「もう、数学大嫌いの典型的な文系人間」という人をターゲットにしているみたいで、完全に読み物です。数式はほとんど登場しません。「概念」だけ手短に紹介していっている感じで、「生徒の立場になった教え方をしないで、公式とかを教師が押し付けるから数学嫌いの文系人間がでてくるんだ」という主張がたびたび繰り返されます。
ですが、典型的な文系人間向けの数学の本としても、僕は薦められません。本書を読んでも、そういう文系人間が数学を好きになれるとは到底思えません。他にいい数学の啓蒙本を僕が知らないのですが、とにかく、この本はちょっと・・・。
正直、こんなものが岩波書店から出版されていることが、信じられません。
数学嫌いの文系人間への数学の啓蒙書を書くならば、優れた経済学者か物理学者あたりが、ある程度は数式を使い、でもそこまで厳密な議論はせず、「ほら、実際に数学って生活に役立つでしょ」と伝えられるような内容のもののほうが遥かによいと思います。誰か、そういう本かかないかなー。
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