内閣府が15日発表した昨年10―12月期の国内総生産(GDP)の速報値は物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比1.2%増、年率換算で4.8%増となった。7―9月期に大きく落ち込んだ個人消費が2期ぶりにプラスに転じたほか、設備投資が引き続き堅調に伸び、内需主導の成長に戻った。プラス成長は8・四半期連続。低成長にとどまった7―9月期の反動ともいえるが、日本経済は総じて息の長い景気拡大を続けているといえる。
実質GDP年率4.8%成長、10―12月期@NIKKEI NET
明るいニュースに対して,株式市場は素直に反応した.
前日の米ダウ工業株30種平均が過去最高値を更新するなど米株式相場の上昇に加え、取引開始前に発表された2006年10―12月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率4.8%増と市場予想を上回り、国内景気の拡大を好感した買いが入った。
日経平均5日続伸、終値144円高の1万7897円@NIKKEI NET
実質GDPが成長しているなんて話になると,当然,日銀の利上げ観測&政府によるけん制の動きも出てくる.うっとおしいので,政治のことはとりあえず考えないことにする.
このニュースのポイントは,「予測が外れた点」だと思う.
実質GDPが成長した,というのももちろん,市場にプラスの影響を持つ.その数字が,年換算で4.8%という高い水準にある,という事実も,市場にプラスの影響を与えたと思う.しかし一番のポイントは,「4.8%という数字が,事前の予測を上回った点」にあると思う.
もし4.8%が事前の予測されていたら,今日株価はこれほど上がらなかっただろう.4.8%という予測が立てられた時点から,じわじわと株価が上昇してきて,今日4.8%という数字が発表され,「お,やっぱり4.8%だよ」程度の反応しか市場は示さなかっただろう.
現実に,人間は経済予測を立ててもぜんぜん外れる.この事実に対して,経済学者が大好きな合理的期待という概念は,どう対峙すべきなのだろう,と思った.
自分の持つファイナンス理論の知識を参照しつつ,現実の株価指数や為替レートを観察していると,考えさせられることが多い.具体的にどんなことをいま感じているか,メモ.
(1)それが正確な解説かどうかはさておき,「現実株価の動きの尤もらしい解説」を思いつくこと自体はかなりカンタン.要は真理の追究というよりは,いかに他人を説得できるロジックを構築するか,ということなので,極端に言えば,「複数の尤もらしい解説」を作れる.
(2)正確さを求めると,経済学やファイナスなどの知識をベースに,「どの解説が,現実株価の動きの何%を説明しているか?」を,データを用いて計量的に分析しなければならない.合計が100%に近くなるまで,要因をリストアップしなければならない.
(3)よって,さまざまな経済記事にある株価の動きの解説記事を読んで「これって本当か?」とか「本当だとしたら,株価変動の何%を説明しているのか?」ということを考えることが,自分の経済学の見識,経済センスを強化する.(株価変動の要因を全てリストアップすることは不可能な点に注意.例えば二つ,考えられる要因があったとしよう.要因①は70%くらい,要因②は25%くらいの要因となっている,とかいうことを知りたい,ということ.)
コメント