【書評】『電池の覇者』by佐藤登

book

献本御礼。とっても勉強になりました。

著者は、東大の博士号をお持ちで、ビジネスキャリアとしては本田技研工業のチーフエンジニア→韓国サムスンSDI常務→エスペック上席顧問、という経歴の方です。アカデミックな匂いのするビジネス書というのは、読んでいて本当に面白いです。知的好奇心が満たされるだけでなく、ビジネスをがんばるとどれほど社会が豊かになり人々の暮らしが良くなるかを感じ取れることが出来ます。

具体的に何をどう感じ取ったかというと、僕の頭の中は、こんな感じです。

  1. 田舎でのんびり暮らしたい、そのためにはどうしてもクルマに頼らざるを得ない
  2. 余暇時間を劇的に増やすために、少しでもはやく自動運転技術を確立してほしい
  3. エンジン車よりも、EV車のほうが、はるかに自動運転制御が容易であるはずだ
  4. というわけで、EV車の開発普及をみんなで頑張ってほしい
  5. もちろん環境に優しいという点も重要だ
  6. そのためには、安全な車載用電池をリーズナブルに大量生産できないとならない
  7. 『電池の覇者』という本を読むと、すごく面白かった←いまここ

ちょうど今朝の日経新聞の一面トップも「中国産EV,輸出始動」という記事でした。また、僕の経営する会社(ニンバリ)の斜め向かいにあるブルーエナジーさん(GSユアサと本田技研工業の合弁会社)が200億の投資をされているというニュースの背景についても、理解を深める事ができました。

リチウムイオン二次電池の開発でノーベル化学賞(2000年)を受賞された吉野さん(@旭化成)との親交話や、初めて量産化したのはソニーだったという話や、その電池事業を村田製作所に売ったという話(2017年)を、業界人から直接聞くことはなかったので、本当にとっても勉強になりました。

また、中国の脅威も感じました。中国は、エンジン積載車(HEV含む)ではもう日本車(要はトヨタとホンダ)にかなわないので、はなからEVで勝負するという国の方針だそうです。将来EV技術で中国が圧倒的にリードしたとき、貿易規制などの外交カードを切られると、日本の国益に関わる話になるのではないでしょうか。

一方で、品質に対する日本の要求意識が、いかに中韓に比べて高いかという話も具体的に本書に書かれていましたので、なんだかんだいって日本の製造業がそう簡単に中国に負けるとも思えません。

made in japanの高品質なものづくりで、日本経済を成長させ、世界全体がもっと豊かで日々の生活が楽しいものになるように、毎日の仕事を頑張ろうと思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました