『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』by冨山和彦

book

「社長、コロナショックを本気で乗り越える覚悟はありますか」を問うている本です。耳が痛いかもしれませんが、経営者なら読んだほうがよいと思います。完全に経営者向けに書かれています。著者と僕は考え方がかなり近く、共感するフレーズが本当にたくさんあり、大量にkindleでハイライトしまくりました。どんなフレーズがあったかというと・・・

例えば、資金繰りに関して、

過去の経済危機の歴史において、同じ業種でも企業の生死を分けたのは、要するに危機到来時における、手元流動性(現預金)の 潤沢 さ、金融機関との従来からの信頼関係、そして平時における稼ぐ力(特に営業キャッシュフローの厚み)と自己資本の厚み、以上である。

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.317-318). 文藝春秋. Kindle 版.

・・・とか。いや、ほんと、これw

アリとキリギリスの寓話と同じで、冬になってから大騒ぎしてもtoo lateなんですよね。平素からこの4つをやっていなかったらtoo lateなんですよね。そうなると、もうアリの好意にすがるしかないんですよ。

それから、経営者の胆力について述べた、

実は資金繰り経営、現金残高経営に関しては、中小企業経営者の方がよほどセンスがいい。東大卒やハーバードMBAのようなインテリ(JALなどに結構いるタイプの学歴エリート)の方が鈍い場合が多い。自分の金で事業を起こし、資金繰りと金策で苦労したことがないからだ。

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.458). 文藝春秋. Kindle 版.

・・・とか。いや、ほんと、これw

地方の中小企業経営者には、けっこう胆力ある人いますね。大概、後期高齢者くらいの年齢で、自分のカネを投じ、戦後をサバイバルしてきた、威圧感のある人物。いるんですよ、地方って、そういう人物、大物が。その中でも特筆すべき大物が、中央で上り詰めた田中角栄さんだと思います。

関連して、book smartとstreet smartの違いについて

モノを言うのは修羅場の実践経験に裏打ちされたstreet smart度合い

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.833). 文藝春秋. Kindle 版.

・・・とか。いや、ほんと、これw

誤解しないほうがよいのは、これ、「bookなんか読まず、勉強しなくても良いよ」という意味では全然ないということですね。「地方で胆力ある年配経営者」というのは、もしも豊かな時代に生まれ育っていたら、きっと勉強できる機会を喜んで活かし、素晴らしい学歴と経歴を積み重ねたのでは、と思います。僕もだいぶそういう「地方で胆力ある年配経営者」に、streetで教えてもらいました。というか、けっこうコテンパンにやられましたw 25歳までは東京でbookで勉強し、25歳以降は関西の田舎のstreetで勉強したと言えるでしょう。だいぶ高い勉強代を払いましたが、streetのほうが楽しいです。

あと、若いときにはMBAより修羅場を体験しておけ、という

MBA 10 回分に勝るケーススタディーの機会

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.719-720). 文藝春秋. Kindle 版

・・・とか。いや、ほんと、これw

著者の冨田さんはStanfordのMBAホルダーなのですが、とっても重みがありますね、この言葉。僕も、MBAをとりたいというよりは、MBAのケーススタディで取り上げられるような経営を実践したいという願望の方が強いです。ちなみに僕は28,29の頃、経営者としてまさに修羅場を迎えていたので、そもそもMBAどころではなかったです。もし修羅場を迎えておらず、MBAをやっていたなら、「資金繰りと金策で苦労したことのないインテリMBA」になっていたかもしれません。

あとは、危機では経営者は孤独に独断すべきという

古来より戦時は独裁である。

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.511). 文藝春秋. Kindle 版.

・・・とか。いや、ほんと、これw

織田信長型リーダーじゃないと、危機は乗り越えられない、と。「国民感情」とか「社内の空気」とか言っている場合じゃないでしょう、と。救命医療でいう、トリアージしないといけないのだから、と。僕は『君主論』もけっこう好きなのですが、ここは本当に共感しました。誰からも好かれるリーダーはリーダーじゃないと思います。烏合の衆の一番先頭にいる神輿でしかないと思います。

あと、危機下においてこそ、リーダーはタフであれという、

真に危機向きの人間は、こういう時こそ一週間くらいほとんど寝ていなくてもパフォーマンスは落ちない。それどころか、普段よりもパワーを増すものである。とにかくタフ。

冨山 和彦. コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) (Kindle の位置No.375). 文藝春秋. Kindle 版.

・・・とか。いや、ほんと、これw

実際には、ちゃんと寝たほうがよいし、体調を整えるのも経営者の仕事だと思います。でも言いたいことはよくわかります。僕も、どういうわけか、景気がいいときより、今のほうが毎日充実しています。というか正直いって、楽しいです。なんというか、アドレナリン全開で、「畜生、コロナの野郎、やりやがったな(激怒)」、という気持ちが強いです。日本代表が円陣組んでいるときの気分ってきっとこんな感じでしょう。次から次へといろいろな手が勝手に脳内に浮かんできて、ずっとこの状態を維持していたいです。ランナーズハイというか。

ちなみに、著者の冨田さんは、『なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)』も書いていて、こちらもオススメです。地方創生がグローバルとどう深く関与しているかが理解できます。地方創生型人材と、グローバル型人材は、両方重要です。橋渡しができる人材も必要だと思います。

冨山さんの本を2冊読んで、地方の最大の課題は、「経営者不足(マネージャー不足)」ということを、再認識させられました。もし需要があれば、またblogにでも書いてみます。

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