『伊藤真の法学入門』の読書感想

 

とっても良い本です。こんな素晴らしい本が、kindle unlimited対象なんて、ラッキー。

伊藤真の◯◯入門は、六法全部読んだのだけれど、本書は法学入門ということで、法学全般を俯瞰している。とっても面白い本で、法学部にいって勉強したくなった。

学校では、憲法の三大原理は、1.基本的人権の尊重、2.国民主権、3.平和主義とおそわったけれど、一番大事なのが、1.基本的人権の尊重。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

とあるけれど、幸福権ではなく、幸福追求権。言い換えると、自己決定権。私の幸福は私が自分で決める、ということ。「公共の福祉」とは「国家のために犠牲になる」という意味ではない。人権を制限できるのは、他の人権だけ、という点も、重要。

 

3つが重要なのは、明治憲法との違いで見ればはっきりする。

国家主義→個人主義(個人の尊重)

天皇主権→国民主権

戦争する国→戦争しない国(平和主義)

 

法律は国民を制限するが、憲法は国家を制限する、という点はどれだけハイライトしてもハイライトしきれない。

 

あと、これなんかを読んで、

 

ピンク色のハイライト | 位置: 970
しかし、法学の世界では、解釈を行う人の主観、思い、もっと言えば感性が、法の内容を変え、結論まで左右してしまうことがあるのです。そして、何が正しいことかは人によって異なる可能性がありますから、自分ならばどう考えるのか、自分ならば何を正しいと考えるのか、すなわち自分なりの正義を追求していくことが重要となるの

 

『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(byサンデル)とかも思い出した。

 

ピンク色のハイライト | 位置: 1,032
幅広い教養を身に付けておくことこそが、バランスのとれた適切な価値判断を行う不可欠の前提になるからです。皆さんの中には法律関係の資格試験をめざす人もいるかもしれません。しかし、合格するだけのために法を学んでほしくはありません。バランスのとれた適切な価値判断を行う資質を磨く意味で、幅広い教養を身に付けておくことは、合格後を考えれば不可欠

というわけで、伊藤真先生は、リベラルアーツの大切さも説いている。

 

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