『合理的市場という神話 ―リスク、報酬、幻想をめぐるウォール街の歴史』

 

 
めちゃくちゃ面白い。 「金融業界で働いてるんだったらこの本は読んどかないとヤバイよね」リストに入ると思う。
 
もう5年位前にやった共同論文が、たまたま効率的市場仮説についての研究だったということもあって、大変楽しんだ。
 
いろいろと書いているけど、一箇所だけ特に印象に残ったのはこれ。
 
ファーマーは捕食者と被食者の増減関係に着目した。被食者の個体数が増えると、それを食べる捕食者の個体数が増える。しかし、被食者の数が少なくなると、捕食者は減っていき、今度は被食者の数が増える。このサイクルがくり返され、平衡状態が保たれる。このシステムは周期的に変動する。
金融市場も同じパターンを示しているとファーマーは論じた。アノマリーが容赦なく捕食されて消滅すると、別のアノマリーが標的になり、やがて最初のアノマリーが復活する。ヘッジファンドの資金運用者はしばしば、アノマリーを捕食して利益を得ることでファンド・マネジャーは市場の効率性を高めていると主張する。しかしそれは、ある特定の非効率性をなくしたとしても、市場全体の振怖を大きくしているだけなのかもしれない。(p391-392)
 
 

超同意。というか、これ僕の金融市場に対する見方そのもの。上の論文で、金融市場の効率性は時変するということは明らかにしたけれど、どういうメカニズムで時変するのかは分からない。この当たりは、それなりに面白い研究テーマなんじゃないでしょうかね。

 
この本読んでたら、正直ちょっと大学院に戻りたいとか思ってしまった。しかし体は一つで時間は有限だ。

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