博士号が取りたいというよりも、研究したいことがあるという気持ちのほうが強い。もともと僕が院にいたときに持っていた研究関心を思いつくままに箇条書きすると:
- Efficient Market HypothesisをTime-varyingで計測することで、不毛な議論に決着をつけたい
- C-CAPMがなんでうまく行かないのか知りたい
- 日本人のリスク回避パラメーターを、自分の手で、ちゃんと推定したい
- GMMの問題点と、ポストGMMとしてどんな推定量が良いのかを知りたい
- Equity Premium Puzzleを解きたい
- ベイズでいろいろな理論を検証しまくりたい
- インフレのコストを、自分の手で、納得がいくまで計算したい
という感じだった。ある程度できたものもあるし、ぜんぜんできなかったものもある。
1.への僕なりの回答が、Mikio Ito先生と一緒にやった、これ。
2.は、修論で取り組んだ。
3.Akihiko Nodaさんと一緒にやって、ついこの前pubishされたこれ。(ちなみに、同じことだけど、どちらかというと僕はリスクパラメータとしてガンマをとらえているが、野田さんは、異時点間の代替弾力性としてとらえているのが、おもしろい。ま、同じことだけど。)
4.は、なんとなく試したみたCUEがけっこういい感じだった。これ、21世紀の計量経済学の勝ち組推定量かもしれない。
5.はいろいろ試して解けずあきらめた。
6.は、ベイジアンになったら、就職やばそうという合理的判断で、深入りやめた。
7.は、全然着手できなかった。アイディアはいろいろあったんだけど。
というか、ほかにも思いついては試してみて、で、ダメだったことが山のようにあると思うのだけど・・・思い出せない。うまくいかなかったことは忘れちゃうから。
まぁ、時間ってないよね。修士の2年でこれぜんぶやるの、無理。授業もあったし。しかも、いま、2年弱働いてみて、ほかにもいろいろと別の関心というか研究してみたいことというか、試してみたいことがある。
- 腰を据えて数学を基礎からやり直して、自分で理論を書いてみたい。自己満足理論じゃなくて、実証可能性を考慮に入れた理論を、自分で書いてみたい。
- 景気循環について、もうちょっと現実を直視しているような理論を考えたい
- 人間は、経済変数や金融変数に攪乱されるがゆえに、当人は合理的と思っていても、一見非合理的な行動をする、という前提で理論を書いてみたい
- market priceという抽象的概念が、現実ではどのように実現されているのかデータから逆算してみたい。(本当にあるのそんなもの?ない業界とある業界があるんじゃないの?)
- JALの新社長の稲盛さんも言うように「値決めは経営」。でも、値決めってどうやってやっているの?見積価格の決定メカニズムって、どういうメカニズムなの?それって、本当に市場価格に近づくの?
- 格差の原因が、生まれた家庭にどの程度依存しているのか実証分析したい。高所得の人間が、実は高所得をもたらしているのは、当人の能力や努力というより、いい家庭に生まれってことに依るところが大きい、という結果が出るのではないか?もしそういう実証分析結果が出たら、格差はよくないという規範的分析へと発展させたい。
ほかにもいろいろネタはあるのだけど、全部書くとあれだし。
まぁしかしあれだ。今年は法律を勉強するとかいってたが、経済学の研究やり始めたら、そんな時間ないな。平日は普通に働いているし。それなりに責任感じてるし。会計ももうちょっと知りたいし。読書もしたいし。スキーも行きたいし。有馬温泉も入りたいし。たまにはゆっくり旅にでも行きたいし。ときどき東京かえって仲間に会いたいし。そういえば今日ウィイレ2010を衝動買いしてきたところだし。やりたいことは無限。時間は有限。
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