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『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』の読書感想

 

良書。キーワードは、マインドフルネス、瞑想、仏教の座禅、悟りの境地、さまよう心。雑念。煩悩。

最近、仏教の瞑想がいかに脳を休めるのに素晴らしいか、という研究が盛んになっているらしい。本書では、宗教性を排除し、瞑想の効果について、科学的に分かっていることと分かっていないことを明確にしながら、説明してくれる。

実際に瞑想してみようと思っても、「何も考えない」ことがいかに難しいかを思い知らされる。瞑想しようと思わなくても、車の運転をしながらでも、家事をしながらでも、常に脳は「何かしらの考え事」をしてしまっている。本書ではこの状態を「自動操縦状態」と呼んでいて、「何かしらの考え事」のことを、「雑念」と呼んでいる。

雑念が浮かぶのは、悪いことではない。「雑念=電車」であり、「自分=駅のホーム」だと考えて、駅のホームにどんどん色々な電車が入ってきたな、と思えばいいらしい。さらに、電車にタグ(名前)をつけてみよう。繰り返し同じ雑念が浮かぶけれど、それに名前をつけてみよう。典型的には「仕事の悩み」「友人関係の悩み」「病気の不安」「将来の不安」などだと思う。

雑念に名前をつけてみて、整理してみると、だいたい過去の後悔か、未来に対する不安(老い、病気、死の恐怖)に二分されると思う。

宗教性は排除して説明しているので、本書ではそんなことは言及されていないが、おそらくガウタマ・シッダールタが悟ったというのは、たぶん、雑念が浮かばない状態に至った、ということなんだと思う。

何も考えずに瞑想しようとしても、脳は勝手に雑念を浮かばせて、迷走する。くよくよしている、という状態になってしまい、これが健康を害している可能性があるらしい。心が彷徨っている状態(=雑念が浮かんだ状態=瞑想しようと思っても脳が勝手に迷走している状態)は、心身ともに健康上良くないということだ。

「瞑想すれば心が落ち着く」のは当然といえば当然だけれど、その科学的根拠について、随時触れながら説明してくれるので、説得力が高い。

 

脳 の 消費 エネルギー の 大半 は、 デフォルト・モード・ネットワーク( DMN) という 脳 回路 に 使わ れ て い ます。 DMN とは、 内側 前頭 前 野、 後 帯状 皮質、 楔 前部、 下 頭頂 小葉 などから 構成 さ れる 脳 内 ネットワーク で、 脳 が 意識的 な 活動 を し て い ない とき に 働く ベース ライン 活動 です。 自動車 の アイドリング を イメージ し て もらう と わかり やすい でしょ う か。

(中略)

この DMN は、 脳 の 消費 エネルギー の なんと 60〜 80% を 占め て いる と 言われています。

 

久賀谷 亮. 世界のエリートがやっている 最高の休息法 (Kindle の位置No.39-43). ダイヤモンド社. Kindle 版.

 

 

そう、 DMN は「 心 が さまよっ て いる とき に 働く 回路」 として 知ら れ て いる。 そして 人間 の 脳 は、 なんと 1 日 の およそ 半分 以上 を 心 さまよう こと に 費やし て いる という の だ。

久賀谷 亮. 世界のエリートがやっている 最高の休息法 (Kindle の位置No.618-620). ダイヤモンド社. Kindle 版.

 

脳 の アイドリング 中 に 浮かん で くる 雑念 こそ が、 脳 疲労 の 最大 要因 の 1つ で あり、その 雑念 を 抑える こと で 脳 を 休ま せる という のが、 マインドフルネス 瞑想 の 基本 メカニズム らしい。

久賀谷 亮. 世界のエリートがやっている 最高の休息法 (Kindle の位置No.630-631). ダイヤモンド社. Kindle 版.

 

科学的に説明すると、

瞑想する→DMNを司る脳部位の過剰活動が低下→脳のエネルギー消費が軽減され脳が休まる

・・・ということらしい。

コツは「いま、ここ」に集中するということ。心はすぐに彷徨って、「過去の失敗」「未来の不安」に行ってしまう。子供が、遊びに夢中で「いま、ここ、わたし」だけのことしか考えていない、童心に帰ろう、と言ってもいいかもしれない。

大人になると、どんどん心が彷徨うネタが増える。「宿題やらないと」「人間関係で悩むようになった」「進路で迷っている」「シュウカツ不安だ」「来週のプレゼンどうしよう」「昇進できるかな」「来週の商談失敗したらどうしよう」ってね。子供にはそんな彷徨うネタはない、「いま、ここ、わたし」だけ。そこに全エネルギーを全力投球している。そういう状態に、いかになれるかが、健康維持には大事なんだろうなと思う。

出世する人が、趣味に没頭している時間を確保していることにも通じると思う。健康上いいというだけではなく、良い閃きは、意外とそういう時間にこそ思いついたりするから。

この本を読んでから、毎日昼に5分間瞑想する習慣がついた。瞑想初心者なので、雑念が浮かびまくるのだけれど、雑念の裏にはdeep needs(深い欲求)があるので、自分自身と向き合うきっかけにもなる。

あぁ、いま僕はこんなこと気にしているんだな、って分かる。

脳は習慣が大好きなので、なるべく同じ時間に瞑想するのが良いらしい。

ちなみに、本書は京都出身の女性がイエール大学に留学にきて、マインドフルネスの研究をしている大家のもとで瞑想について学ぶ、という物語の体裁をとっている。主人公の女性のお父さんはお坊さんという設定で、小さいころから座禅とかをさせられて、そんな父に反発していたのに、瞑想の科学的効果を学んでいく、というストーリーで、けっこう面白い。

著者の久賀谷 亮さんは、イエール大学の卒業生らしい。