『くたばれ!ISO』の読書感想

 なかなか勉強になったな。
タイトルを見るだけだと、ISOなんかやめてしまえ、というメッセージなのかなと思ったけれど、そうではない。どうやったら活用できるか考えましょうという内容であった。
冒頭(p2)で、「ヨーロッパから押し寄せてきたISOのせいで、日本企業の間接コストはあがってしまったのだけれど、これはヨーロッパが狙ってやったんじゃないか。ISOなんかなくたってmade in japan製品は品質高くて問題なかったのに。」みたいな文章があって笑えた。そしてなんか気持ち萎えた。
アマゾンでけっこう高評価だったので読んでみたけど、こんなタイトルの本が読まれているなんて、現在のISOって本当に罪な存在ですね。一番悪いのは、「とりあえず」ISOを入れて喜んでいる経営者だと思ったけど。使いこなせないのは全部経営者の責任だよ。
『図解ISO9001早わかり2008年12月最新改訂版完全対応』も合わせて読むとISOについて理解が進む。

『合理的市場という神話 ―リスク、報酬、幻想をめぐるウォール街の歴史』

 

めちゃくちゃ面白い。 「金融業界で働いてるんだったらこの本は読んどかないとヤバイよね」リストに入ると思う。
もう5年位前にやった共同論文が、たまたま効率的市場仮説についての研究だったということもあって、大変楽しんだ。
いろいろと書いているけど、一箇所だけ特に印象に残ったのはこれ。
ファーマーは捕食者と被食者の増減関係に着目した。被食者の個体数が増えると、それを食べる捕食者の個体数が増える。しかし、被食者の数が少なくなると、捕食者は減っていき、今度は被食者の数が増える。このサイクルがくり返され、平衡状態が保たれる。このシステムは周期的に変動する。
金融市場も同じパターンを示しているとファーマーは論じた。アノマリーが容赦なく捕食されて消滅すると、別のアノマリーが標的になり、やがて最初のアノマリーが復活する。ヘッジファンドの資金運用者はしばしば、アノマリーを捕食して利益を得ることでファンド・マネジャーは市場の効率性を高めていると主張する。しかしそれは、ある特定の非効率性をなくしたとしても、市場全体の振怖を大きくしているだけなのかもしれない。(p391-392)

超同意。というか、これ僕の金融市場に対する見方そのもの。上の論文で、金融市場の効率性は時変するということは明らかにしたけれど、どういうメカニズムで時変するのかは分からない。この当たりは、それなりに面白い研究テーマなんじゃないでしょうかね。

この本読んでたら、正直ちょっと大学院に戻りたいとか思ってしまった。しかし体は一つで時間は有限だ。

『ドリルを売るには穴を売れ』の読書感想

 面白かった。
 
 
一つ目、ベネフィットについて。顧客は価値を買うのであって、製品とかサービスは価値を実現する手段に過ぎないのだよ、ということ。ベネフィットには2つあって、機能的ベネフィットと情緒的ベネフィット。
 
二つ目、セグメンテーションして顧客ターゲットをはっきりさせよ、という話について。セグメンテーションについては、『BCG戦略コンセプト』の方が本書よりも参考になった。顧客ターゲットをどこにすべきかという話については、1.市場が十分大きいか、2.競争の激しさはどうか&自社の強みを活かせるか、3.提供しようとする商品やサービスをそのターゲットは切実に必要としているかどうか、という3つの視点から選びましょうと書いてあった。
 
三つ目、差別化について。差別化の軸は3つしかなくって、手軽軸、商品軸、密着軸だって。PCの例で言えば、デル、アップル、パナソニックだって。
 
四つ目、4P。特にpriceが一番重要で、どうやって顧客から価値の対価をいただくかを考えましょう、と。千葉ネズミーランド・・・じゃなかった東京ディズニーランドの例で言えば、入場料+グッズ販売+飲食の合計で、顧客単価は9,220円らしい(p203)という情報が印象に残った。(前に誰かから聞いたことあったような気もするけど。)
 
「マーケティングとは」という定義がいろいろな言い方で為されていたのだけど、どれもいいなと思うのでここにメモしておく。
 
マーケティングとは、本質的には「顧客にとっての価値」を売り、その対価として、顧客からお金をいただくことだ。(p44~45)
 
マーケティングとは、この価値の不等号(「顧客が得る価値(ベネフィット)>顧客が払う対価」)を維持・拡大するすべての活動(p46)
 

 

マーケティングとは、顧客にとっての価値に関連するすべてのことであり、作る人、売

 

 

る人すべてを含んだ全社員の仕事なのだ。(p48)

 

 

 

 

マーケティングとは、顧客の欲求を満たすための学問体系(p56)

 

 

 

 
読んだり人から聞くと、全部当然すぎるとしか思えないのだけど、自分でマーケティングをするとけっこうそんな当たり前のことが出来ない。

『新訂 孫子』の読書感想

 なんという素晴らしい良書でしょう。もっとはやいこと読むべきでした。
やっぱり時間の淘汰に耐えた本というのはすごいです。『武士道』も素晴らしいけれど、あれは111年モノ。『学問のすすめ』も素晴らしいけれど、あれは130年モノ。『君主論』も素晴らしいけれど、あれだって500年モノ。『帝王学―「貞観政要」の読み方』も素晴らしいけれど、あれもせいぜい1400年モノ。では本書は?なんと2000年以上モノだ。そりゃ読む価値あるわ。(ちなみに、同じく2000年以上モノの『論語』は、どうも僕に心にはあまり響かなかったようで、ただ眠いだけでした。)
例えばこれとか、要は「3C分析しましょう」って言っているのですね。
だから戦争のことに通じた人は、[敵のことも、身方のことも、土地のありさまも、よく分かったうえで行動をおこすから、]軍を動かして迷いがなく、合戦しても苦しむことがない。(p141)
最初に訳者による解説で孫子の特徴として「好戦的ではないこと、現実主義的なこと、主導性を握ることの重要性が繰り返し強調されること」の三つをあげています。この三つだけでも肝に命じて生きていこうとか思いました。
ほかにも心に刺さった内容がたくさんありましたが、本当に素晴らしい本です。絶対にまた読み返します。
本屋さんの店頭に並ぶ流行りのビジネス書ばっか読んでないで、こういうのもっと読もう。

『君がオヤジになる前に』の読書読書

はじめてipadで読書してみた。電子版はこちらから買えます。

で、内容。ホリエモンの本。ひねくれた人だな、というのが率直な感想。でも、ホリエモンが言うように、すべてにおいて常識を疑って、自分の頭で考えることはとっても大事だと思う。それと、ホリエモンは健康に相当気を使っているらしく、たとえば一日八時間は絶対ねるらしいのだけど、これも共感。僕も、夜10:30くらいに寝て朝6:30くらいに起きる8時間睡眠生活を、3年以上続けてる。最近ダイエットにも成功したし、とっても体が軽くって、こういう健康によい生活をしているかどうかで、30年後くらいに相当な差が出ると思う。健康的な生活しているのだから、僕の社会保険の負担率まじで下げてよ、と思う。タバコすったり不健康な生活している人の負担高めてよ、とまじで思う。あぁ、でもタバコ税が高いのは、そういう意味だと思えば、納得だな。

ひたすら世間の常識とはかけ離れたことをいいまくっていて、例えば、「家族とか友達なか切り捨ててきた。自分はすごい勢いで成長してきたけれど、まわりはそれについてこれなかったのだから、切り捨てて当然」という主張が繰り返しされる。でも、トヨタの奥田さんを尊敬する経営者にあげつつ、「奥田さんはものすごく物腰柔らかで、できない人間にもやさしくするような包容力をもった人で、奥田さんにあって、自分の考え方に迷いがでた」と素直に書いている。
最後にアカギとかカイジとかで有名な漫画家の福本さんと対談しているのだけど、これもけっこうおもしろい。「明らかに自分一人の才能で食っているのに、サザンのメンバー全員に利益を還元している桑田佳祐」の話を、トヨタの奥田さんみたいな「できない人間にもやさしいトップ」との話に関連させて話に華が咲く。結局、「大島優子や前田敦子は、明らかに彼女たちがグループの中で突出した才能をもっているのだろうけれど、AKB48というブランドの中じゃないと、真価を発揮できず、たぶん単独活動してもこれほど売れない」という例えで、ホリエモンは妙に腑におちているようだった。
まぁ、つまり結局は合理的な理由があって、「できない人間にも利益を分け与えるやさしい才能ある人」に見えるだけね、というホリエモンなりの解釈なのでしょう。
けっこうおもしろかったです。
あと、ホリエモンさんの本で面白かったのは、
『拝金』  野球球団買収とか、テレビ局の買収とか、どこまで本当かしらないけれど、そういうのを小説化した本。
『堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方』  ホリエモンが逮捕前に世間で持て囃されていたころに書かれた本。これもけっこうおもしろかったです。
まとめると、ホリエモンさんは、素直なひねくれ者の、おもしろい人。