『経営心得帖』の読書感想

松下幸之助の本、何冊目だろう。本当に外れがない。普通だったら「どれも同じようなことが書いてあるから、どれか一冊読めばとりあえずOK」なんだが、全部読みたくなっちゃうのね。

しかし最近、読書が進みませんな。今月は6冊くらいか?全部PS3版ウイイレ2009のせい。あのゲーム面白すぎ。ソニー様とコナミ様、ありがとうございます。

論文がなかなか載らない

久々のアカデミックなネタ。

さて、この論文は見事にリジェクトをくらいました。やはり甘くないですね。今思うとこれがacceptされたのは、本当に運が良かったとしかいいようがない。周りの話を聞いてみても、やはり、リジェクトをくらったという話のほうが圧倒的に多く、国内組が有名ジャーナルに載せるのは、本当に難しい。とはいえ海外組も簡単に載せられているわけではないが。

中身云々の前に、形式的なところだが、cochiranのwriting tipsは非常に参考になります。有名なんで既に知ってる方も多いかもしれませんが。知らなければ、とりあえずこれを読んで体裁を直すのをおすすめします・・・。

あとは、どのジャーナルを選ぶか。ジャーナル投稿戦略は重要。結局、論文というのは商品で、それをいかにうまく売り込めるか、という側面もあるので。優秀なセールスマンになる必要があるってこと。

そして、結局こういうことをアドバイスできるのは、優れた研究業績のある教授しかいないわけで。でもそういう人は少ないわけで。そういう人に認めさせるのも、一種の優秀さなわけで。つまりは優秀でないとアカデミックにやっていくのは難しい、という当たり前の結論が出てきてしまった。

『人生心得帖』の読書感想

完全に松下ファンになってしまった。松下幸之助さんの本は外れがない。経営者だけでなく、啓蒙書というか、精神安定剤として活用可能。

仏教系の教えが背後にある気がする。何か大きな運命みたいなのがあって、人間はそれに逆らってはいけない、みたいなことが頻繁に出てくる。けっこう、素直に受け入れられることばかり書かれている。

ちなみに、私はキリスト教徒なんだが。一応。でもどの宗教も、結局言っていることは一緒な気がするし、いろいろな宗教を知ること自体、けっこう興味深い。

世界一周旅行の日記(ヨーロッパ編その4)

2008.5.23(Fri)

ニースからパリへ移動。とりあえず、ニースにて朝マック。ブレックファストセットを頼む。なんかフランス語で聞かれるも、何を言っているか分からず。「ドヒンク、ドヒンク?」って何回も繰り返される。ああ、drinkか、この国はアールのところを妙に発音するんだっけ、わからんよね・・・という話をしたら、妻「フランス語で飲み物はボアソンだから、わざわざ英語でいってくれたんだよ」って。

TGVすごい快適。新幹線より快適かもしれない。パリ到着してすぐに昼ごはん。Le train blueみたいなお店に入る。内装がやたら豪華。そして一番安いコースが48ユーロ。昼ごはんでこの値段って。。。高すぎる。ここは有名なところらしい。

夕方、ルーブル美術館へ。金曜の夜は、25歳以下は無料だって、ラッキー。大きすぎて、とても一日では見れきれない。全部見る気もないが。とりあえず有名どころだけ。ドラクロワの『群集を率いる自由の女神』とか、『ミロのビーナス』とか、『モナリザ』とか。

2008.5.24(sat)
パリを終日観光。観光客が集まるエリアは観光客価格になって、一歩路地裏に入ると現地価格に戻ったりする。パリに限らず、どこの観光地でもそうだか、これって経済学的にどうでしょう。そういうことやるのが都市経済学ってやつなのかね。

ノートルダム大聖堂。並びすぎの上、雨になったため、中に入るのは断念。この辺りは巡礼者や観光客が世界中からあつまってくる。そして、beggerもここぞとばかりに集まってくる。いきなり声をかけられて、do you speak englishって聞かれる。yesと答えると、紙切れを渡される。なんて書いてあるかといえば、「私はまずいしいところからきました、弟は病気で大変です、子供にたべさせるお金をください」とか、なんとか書いてある。パリにくるまでいろいろ旅してきて、いろいろなところでいろいろな物乞いを見てきているが、こういうパターンは初めて。それについては、また書こうかな。

コンシェルジェリへ。マリー・アントワネットが処刑されるまでの最後を過ごした独房があるところ。フランス革命で、ギロチンで2000人処刑された、とかで、名前が書いてある。王もギロチンにかけるって、すごいことだよね。

夜、凱旋門へ。光るエッフェル塔もきれいに。見える。

帰り道、駅の改札を僕が出るとき、むこうにいた普通の女性が、無理やり逆行して通ろうとしてきた。当然、普通は一人分の幅しかないところなので、ぶつかって痛い。女性は何もなかったかのようにそのまま通り過ぎていった。見た目は本当に普通の女性。たまたま遭遇しただけなのか。たった数日の滞在でそういうことに遭遇するなんて、けっこうよくあることなのか。こういうことは、日本ではほとんどないが・・・。マナーが悪いとかいう問題ではなくって、無賃乗車の犯罪なわけだけど、そういう認識がないんかね。しかも他人にぶつかってるし。

『借金を返すと儲かるのか?』の読書感想

『国語算数理科しごと』と同じ著者。あれは小学生向きだったが、これは中高生くらい向きか?「とりあえず大雑把でいいから決算書読めるようになりたい、でも簿記はやだよ」というわがままを叶えてくれるスゴイ本なので、会計チンプンカンプンのビジネスマンにもお薦め。

細かい簿記の話には立ち入らないのがいい。勘定科目について一切ふれない(というか、「勘定科目」という言葉じたい、出てこない)。大雑把に「資産」「負債」「資本」「費用」「収益」の5個のブロックがあります、これでテトリスします、という説明。これなら頑張れば小学生でも理解できるんじゃなかろうか。すごいよ。

利益とキャッシュフローの違いをテトリス風に説明していて、それが非常に分かりやすい。ある程度会計詳しい人なら、「いつも俺が頭の中でやっていたことを、画面にしてくれてありがとう」という印象を持つと思う。これを読めば、利益は出てるのにお金がない(黒字倒産)がなぜ起こるのか、誰でもわかるようになるはず。

以前、『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』を絶賛したが、本書のほうがかなり簡単。なので、まずは本書を読み、次に『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』を読むのをお薦めします。その二冊でとりあえず決算書は大雑把に読めるようになるはず。

もうちょっと書くと、こんな感じでレベル別にお薦め本をメモ。

小学生:『国語算数理科しごと』
中学生:本書
高校生:『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』
大学生:『財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方』

『商売心得帖』の読書感想

素晴らしい本。松下幸之助の本はすでに二冊読んでいるが(『指導者の条件』『実践経営哲学』)、どれもお薦め。経営者は当然として、誰が読んでも影響を受けると思う。

松下幸之助はよく、「適正な利益」という表現を使うが、それが何なのかということを最近よく考える。需要曲線と供給曲線が交わるところで決定される価格が効率的な価格で望ましい、とか何とか昔習った気がするが(パレート効率的とか呼ばれている、あれのことだ)、実際にいろいろな財の価格を決める立場になってみると、けっこうこれって裁量的。

あまり強気に高い価格をいただくのはぼったくりだし、だからといって、あまり安くしすぎるお人よしさんも考え物。その中間にあるどこかの、「ちょうどココ」という価格を探し当てないといけない。値決めは経営(『アメーバ経営』)と稲盛和夫も言っているくらいで、とても難しい。

松下幸之助が書いたほかの本も読みたいって思った。読書が習慣になっている人なら、これが最高の褒め言葉ということが分かるはず。同じ著者が書いた本をまた読む、というのは、よっぽどいい本だった証拠ということ。

『プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く』の読書感想

面白かった。プロパガンダとか広告とか宣伝とか洗脳とか説得とか、そういった感じ。読む価値あるよ。特に今みたいに情報過多の時代では。で、著者たちが本書を執筆した目的は、プロパガンダとか広告とか、そういう各種「説得」から人々が自分の身を守れるようにするため、だって。著者たちは有名な心理学者らしく、心理学に興味あるんだったら、是非この本を。

で、目次をアマゾンから引用してみる。

第1章 日常生活のなかの説得
第2章 説得のお膳立て―効果的な説得を行うために
第3章 伝達者の信憑性―本物とまがい物
第4章 メッセージ―それはどのように伝達されるのか
第5章 感情にアピールする説得
第6章 説得の戦略を打ち破るために
第7章 情報戦略が失敗するとき―プロパガンダと社会

話題は非常に多岐にわたる。ざっとあげてみるとこんな感じ:カルト的な宗教、政治家の選挙活動、テレビをはじめとする各種メディア、ダイレクトメール、ヒトラー、セールスマンの営業トーク、などなど。日常は説得するかされるかという場面で溢れていて、情報はそこら中を溢れている。

さて、例によって印象に残った点をいくつかメモ。

他のすべての条件が等しければ、たいていの人は、多量の統計データよりも、一つの鮮明で身近な事例の影響を強く受けるものなのである。(p151)

人間なんてそんなもんだと思う。

人びとの心を揺さぶる鮮明なテレビの訴求力が、小説のような単なる感動的な物語りに取って代わられることはないだろう。(p155)

「小説」を「ネット」に置き換えてみると面白い。

歌やその他の娯楽は、受けてが反論を間が出すことを妨害するという点で大きな影響を与えるらしい。(p163)

要は気を逸らしたいということ。

信頼できる送り手の場合には、送り手が唱道する意見と受け手の意見の間の食い違いが大きいほど、受け手が説得される程度は大きい。一方、送り手の信頼性が疑わしい場合には、食い違いが中程度のときに最大の意見変化が生じる。(p172)

この本では様々な心理学の実験結果が紹介されている、そのどれもが超面白いのだが、これはその中でも一番面白い結果だと思う。

かつてBBC会長が述べたように、テレビニュースは一種の娯楽番組なのである。(p263)

ニュースという番組名がついた、バラエティ番組ってことか。ってか、そんなことをBBC会長が言ったことがあるなんてびっくり。

ヒトラーは、『我が闘争』で次のように書いている。

宣伝効果のほとんどは、人びとの感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない。われわれは大衆に対して、過度な知的要求をしてはならない。大衆の受容性は非常に限られており、彼らの知性は低い。しかし、忘れる能力は非常に大きい。これらの事実に基づき、宣伝を効果的にするには、要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンの意味するところを理解できるまで、そのスローガンを繰り返し続けることが必要である。(p292)

これを読んで、小泉さんを連想したのは、僕だけじゃないと思う。

いやー、かなり面白かったよ。非常的に「説得」的な本だった。完全にこの本読んで、「説得は危険」と見事に「説得」されてしまったよ。

(追記)

ちなみに、本書は

http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/09/post-ea15.html

経由で知った。リンク先のブログは、僕が読む本を選ぶときにたまに参考にしているブログで、けっこう良いブログだと思う。

『ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則』の読書感想

『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』の続編。感想は、前作と同じく「わくわくして楽しい気持ちになった」というところか。両方ともいい本っす、お薦めできます。

で、内容。まず原著のタイトルに触れる必要がある。前作は、”Build to Last”つまり「永続するように作られた企業」について語っていた。そういう卓越した企業(BTL企業)と、普通レベルの優良企業に違いは何か?というのが、前作のテーマだった。ところが、「”Build to Last”を読んでも、どうやったら良い企業からBTL企業にできるか分からない」という批判を受けたらしい。その批判を受けたのが本書。だから、今回、原作タイトルは、”Good to Great”ということで、普通レベルの優良企業(Good company)が、どうやったら結果偉大な企業(great company)になったのか、ということがテーマで、11社が分析対象になっている。

で、二つの本の関係だが、結果的に、”Build to Last”の方こそ”Good to Great”の続編のようなものだと著者は言っている。”Build to Last”で紹介した企業は、創業者が”Good to Great”の方法をとっていたのである。”Build to Last”で紹介した企業は、その上で、greatnessを維持できているという意味で卓越した企業だったのである。そして、いかにしてこれを維持しているかを分析しているのが、”Build to Last”の分析内容だった、と後になって振り返ると分かった、ということ。そして、”Good to Great”の方法も、”Build to Last”の方法も、かなり重なる部分がある、ということが分かった、と。

で、本書の分析の結果わかったことをメモ。

1.第五水準のリーダーシップ:
“Good to Great”企業では、カリスマCEOを社外から招いたりはしない。”Good to Great”企業のトップは謙虚で、派手な生活はしない。しかし確固たる意思を持っている。

2.最初に人を選び、その後に目標を選ぶ:
「まずは目標があって、その目標に共鳴する人を選ぶ」のではない。「まずは適切な人を選び、その後に目標を設定する」のである。「適切な人」とは、”Build to Last”でいうところの「基本理念(ビジョン)」が共有できている人のことだと思う。

3.厳しい現実を直視する:
現実、真実、統計データを客観的にちゃんと見る。厳しい現実も直視する。その上で、勝利の確信を失わない。根拠なき自信は持たない。

4.針鼠の概念:
次の三つの円の交わる部分に固執する。「世界一になれる分野はどこか?」「情熱を燃やせる分野はどこか?」「その分野は儲かるか?」

5.規律の文化:
三つの円の交わる部分にとどまれるような規律を持つ。

6.促進剤としての技術:
新しい技術にとびついたりしない。振り回されない。三つの円の交わるところと関係なければ、どんなに世間が騒ぐ新技術もスルー。

7.弾み車と悪循環
“Good to Great”企業では、「このときが転換点だった」という時期は特に無い。重たい大きい車輪があって、それを人手で推し進める場面を創造しよう。ゆっくりと回転して加速度的にスピードがあがっていく車輪。この車輪、どの点で「急に勢いづいた」のだろうか。そんな問い自体が無意味で、車輪を押し続けたことが重要。はたからみたら「ある時」を境に急にスピードが上がったかもしれない。「あの時、どんなマジックを使ったんだ」と聞くのはナンセンスということ。

・・・という感じ。特に、「三つの円」の考え方は気に入った。

あと、「どうしてgreatを目指さないといけないのだろう」という質問が出るとしたら、たぶん、あたなはその仕事を十分好きではないのだろう、というのもするどい指摘。本当に情熱を燃やしているものの場合、そんな質問すらでない。大好きなサッカーをやってる子供が、ワールドカップで優勝したい、と素朴に思うのと同じことで、本当に好きな仕事をやっている場合は、どうしてもgreatになりたい、と感じるものだと思う。

とりあえず、分析の方法とか細かいところは、突っ込みだしたらきっとキリがないと思うんだけど(詳細は書いてないからわからんが、なんらかの統計分析をしているはずだし)、とにかく前作と同じく「わくわくして楽しい気持ちになった。」