今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない、という主張について

以下のエントリーを読んだ僕の感想。

円安バブル論というバブル @himaginaryの日記

「今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない。いままでが、超円安だったのだ」という主張。この主張は、榊原英資先生と、伊藤元重先生が言っているわけですが・・・。

ビッグネームが相手なんで、ちょっと僕も気が引けるんだけど、この主張は僕も間違っていると思う。リンク先のhimaginary氏のエントリーは価値が高いと思うし、伊藤元重先生がどうおっしゃるのかとても気になる。それで僕は、ちょっと違う視点から「今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない。いままでが、超円安だったのだ」という主張について、反論してみよう。

僕は、今の1ドル90円(正確には、今日ちょっと円安に触れてるので93円台後半)は、円高だと思う。何度も何度も言っているが(参考)、90円台後半が僕なりの考えた、為替レートの適正水準。

この主張に対する僕の一番の疑問は、「実質為替レートが円高かどうかは、基準をいつにするかによって、どんな結論でも出せてしまうでしょう?」ということ。「10年前の120円と比べる」のならば、確かに今の90円は、円高ではない。むしろ、まだまだ円安なくらいかもしれない。

日銀が発表している実質実効為替レートを見てみると、1999年1月は136.1だった。で、先月(つまり2009年1月)の値は、127.4であるので、なるほど確かにいまの90円は、円高ではない。それどころか、まだまだ円安ということになる。(実質実効為替レートは、値が小さいほうが円安になる。名目為替レートとは逆なので注意。)

じゃあ、11年前(1998年1月)と比べたらどうか?1998年1月の実質実効為替レートは125.4。11年前と比べたら、今の90円は、円高でも円安でもない、と言える。

じゃあ、12年前(1997年1月)と比べたらどうか?1997年1月の実質実効為替レートは115.2。あれれ?12年前に比べたら、今の90円は円高、ということになってしまいますね。

経済学者がよく言う「名目で見たら○○だけど、実質で見たら実は~~なんです」というのは、実質変数を比較する基準をいつにするかによって、いくらでもなんとでも都合のいい結論を正当化できてしまう、魔法の言葉。

学者だったら「こういう理由で、基準年をこの時にしましたよ」という理由を言うべき。換言すれば、「基準年を選ぶ基準」を示すべき。

僕は僕なりの基準があって、それに基づいて「いまの為替レートのあるべき水準は90円台後半」と言っているのだが・・・。僕の基準については、秘密にしておこう。(アカデミズムを離れた今、自分の分析を、無料で見知らぬ他人に教えるほど僕はお人よしではない)。

「今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない、という主張について」への3件のフィードバック

  1. > 経済学者がよく言う「名目で見たら○○だけど、実質で見たら実は~~なんです」というのは、実質変数を比較する基準をいつにするかによって、いくらでもなんとでも都合のいい結論を正当化できてしまう、魔法の言葉。
    これ、まさにおっしゃる通りだと思います。基準年の撮り方で大きく変わりますね。
    また、実質化するバスケット内の財の選択で大きく変わるようです。例えば渡辺努氏が、近年の消費財のデフレに関しては、家電などの耐久消費財の役割が多かったと指摘していた記憶があります。

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