消費者物価指数、前年同月比で0%増

2009年1月。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm

総合指数も、生鮮除く総合指数(日銀はこっちを見て政策決めてる)も、両方とも、前年同月比で0%増。マイナスにはなっていないものの、企業物価指数は5年ぶりに下落しているし、消費者物価指数の今後も暗そう。

政策金利、0%にしなくていいの?

『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』の読書感想

超有名本。有名すぎて既に著者の主張を知っていたので、読まなくても良かったかも。Life is beautifulさんのこのエントリーでも読めば、だいたい本書の主張は分かる。


正直、このジレンマを経験できるレベルの企業はそう多くは無い。

さて、いくつかメモ。

組織にできることとできないことは、資源、プロセス、価値基準の三つの要因によって決まる。
(p220)

カリフォルニア州サンフランシスコのウィンダミア・アソシエーツは、「購買階層」という製品進化モデルを作成した。このモデルは、機能、信頼性、利便性、価格の四段階を一般的なサイクルとしている。
(p254)

ハーバードビジネススクールは、学問的厳密性と、実践的応用性の両方を重視しているらしいが、本書はその鑑なんだとか。

債券市場もvolatile

http://finance.yahoo.com/echarts?s=^TNX#chart3:symbol=^tnx;range=1m;indicator=volume;charttype=line;crosshair=on;ohlcvalues=0;logscale=on;source=undefined

米国債10年物は、今日一日で0.15%程度あがった。historical dataを見ていればわかるが、非常にvolatileだ(変動性が大きい)。株式市場も為替市場も債券市場もvolatileの、トリプルvolatile。volatility(変動性)というのは、リスクの指標である。volatiliyが大きいとは、リスクがでかいことを意味する。いまの状況では、どこにどう投資してもリスクをとらざるを得ない、という状況になっている。

昨年末に狙っていた某米国企業の社債も、価格が随分と変動している。その企業固有のvolatilityの問題だけではなく、債券市場共通のvolatilityの問題があるようだ。

ちなみに、最近はどこの証券会社も仕組債を積極的にセールスする方針のようだが・・・。まだまだ僕も勉強不足なので、なかなか。最低売買単位も大きいし、正直びびってしまうよ。

さらに円安が進んでいるが、これが今の適正レートだと思う

一時97円台に。結局、96円台半ばで終わったみたいだが。

ここくらいまで来ると、この先どうなるかちょっと分からない。何度も何度も何度も言っているように(やっぱり過剰に円高だと思う)、今の時点での円ドルは90円台後半が適正レートだと僕は思うので、「あ、適正レートに戻りましたね」くらいにしか思わない。

じゃぁ将来は?数年単位で見るときは、金利差と&物価上昇が両国でどれくらい乖離するか、が重要だ(円とドル)。が、将来の物価を予想するのは困難。よって、将来のことは僕にはよく分かりません。。。とは言うものの、ちょっと、今後の両国の物価動向を見ておこう。

アメリカの物価。米国のデフレ懸念で書いたようなアメリカのデフレ懸念は、James Hamiltonによれば、少しは和らいだみたいだ。「今月のCPIは来月中旬に発表されるが、多分、マイナスに転じるだろう。」と書いたが、2009年1月のアメリカのCPIは、211.143で、前年同月比で0%増だった。ぎりぎりマイナスにはなっていない。(Hamiltonは季節調整済み指数に注目しているようだが。)

で、日本の物価。企業物価指数は下落しているが(企業物価指数、下落)、消費者物価指数のほうはどうだろう。いまのところは下落していないが、2009年1月の指数がどうか、そろそろ発表されるので(あさって発表?)、それに注目したい。企業物価指数の下落は、しばらく続くと思うので、それにひきずられる形で、消費者物価指数も下落傾向を近いうちに見せるのだろうか。

金利は?両国ともしばらく不景気に苦しむだろうから、日米とも超低金利政策はしばらく続くでしょう。どっちが先に金利をあげるか、というのが一つのポイントだが、
いまの時点では、なんともいえない。が、FRBの方が優秀で、ゼロ金利にするときはさっさと0まで下げ切って、景気をさっさと回復させそうな気がするので
(僕の偏見ね、これは)、FRBのほうが先に利上げにこぎつけるんじゃないかなぁ。

なんにせよ、いまの時点では両国の物価上昇の乖離の予想も、金利差の予想も困難。両方ともデフレになるかどうかのギリギリのところにしばらくいるし、しばらく不景気で低金利が続くだろう、というのがフェアな予想かな(強いて言えば、上述したとおり、FRBのほうが能力が高いので利上げも早いかなって)。

まぁ、数年スパンで見たら、円ドルがどうなるかは、分からん、ってことです。いまの90円台後半から、円安になるかもだし、円高になるかもだし。分かりません。

短期(一年未満、数ヶ月くらい)では?そりゃ、細かいニュースに一喜一憂するだろうから、また90円台の前半にもどったりするかもしれんよ。ただ、「日本は先進国に比べてそんなに悪くない」と総理はおっしゃってましたが、それはまだまだ悪さが出てきていないだけ。2008第四半期のGDPがどれくらい減するか。その数字次第では、一気に円安がもっと進むかもしれない。100円台回復もありうる。

 

『まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』の読書感想

毒舌だが独特な言い回しが魅力で、読ませる。相当おもしろい。著者の主張にものすごく共感する。この分野で僕が読んだ本の中で、ひょっとして一番優れていたかもしれない。(この分野とは、経済・金融・統計学・計量経済学・データ分析・トレーディング・資産運用、とか、そんな感じ。)

タレブによれば、「成功しているトレーダーは、ほとんどの場合、運がいいだけのバカ」。「ほとんど」と彼が強調しているのは重要で、ひょっとして本当に賢いおかげで成功しているトレーダーもいるかもね。って。でも、「ほとんど」の場合、成功は偶然でしかないんだって。

それから、伝統的な経済学もちょいちょい槍玉にあげる。たとえばp232で、

経済学者は物理学者をうらやんでいるけれど、その物理学はもともと実証的科学だ。一方、経済学、とくにミクロ経済学や金融経済学は圧倒的に規範的である。規範的経済学は、美意識に欠ける宗教みたいだ。

けっこうキツイね。でも反論できない。実際、多くの場合、ミクロ経済学者は現実に興味がない。彼らの多くは、「実証的科学」なんか、興味ないでしょう。そのくせ、現実経済について偉そうに述べるから腹が立つ。現実経済のことだったら、僕のほうが絶対に詳しい。じゃぁ現実に興味が無いからといって、理論の世界で黙々と研究業績を出しているか?というと、国内の学者の場合、論文すら書かないから始末が悪い。研究業績という点で、僕未満の教授はたくさんいる。別に僕がすごいんじゃない。彼らが怠慢で無能なだけ。

じゃぁ、「実証的科学」のはずの計量経済学については著者はどう思っているかというと、p146では、

最初、まだほとんどなんにも(つまり今よりもさらに)わかっていなかったころ、もう死んでしまった人や引退した人のやっていた行動に基づいてできた時系列データが将来の予測に使えるのだろうかと悩んだことがある。そういうことについて私よりもずっとよくわかっている計量経済学者は、そんな疑問は持っていなかった。(中略)今では私は、たぶん計量経済学のほとんどは役に立たないのだろうと思っている。

これは時系列の場合だけど。でも、クロスセクションとかパネルデータを使うにしても、ランダム性がどれくらい確保されているのかがいつまでも不明である以上、なんだかなぁ。

マスコミの無知についても糾弾している。彼らは不勉強で、専門家の意見を正しく理解できないんだって。

ここまで面白い本は、久々。最高の知的刺激を受けた。

今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない、という主張について

以下のエントリーを読んだ僕の感想。

円安バブル論というバブル @himaginaryの日記

「今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない。いままでが、超円安だったのだ」という主張。この主張は、榊原英資先生と、伊藤元重先生が言っているわけですが・・・。

ビッグネームが相手なんで、ちょっと僕も気が引けるんだけど、この主張は僕も間違っていると思う。リンク先のhimaginary氏のエントリーは価値が高いと思うし、伊藤元重先生がどうおっしゃるのかとても気になる。それで僕は、ちょっと違う視点から「今の1ドル90円は、実質で見たら円高ではない。いままでが、超円安だったのだ」という主張について、反論してみよう。

僕は、今の1ドル90円(正確には、今日ちょっと円安に触れてるので93円台後半)は、円高だと思う。何度も何度も言っているが(参考)、90円台後半が僕なりの考えた、為替レートの適正水準。

この主張に対する僕の一番の疑問は、「実質為替レートが円高かどうかは、基準をいつにするかによって、どんな結論でも出せてしまうでしょう?」ということ。「10年前の120円と比べる」のならば、確かに今の90円は、円高ではない。むしろ、まだまだ円安なくらいかもしれない。

日銀が発表している実質実効為替レートを見てみると、1999年1月は136.1だった。で、先月(つまり2009年1月)の値は、127.4であるので、なるほど確かにいまの90円は、円高ではない。それどころか、まだまだ円安ということになる。(実質実効為替レートは、値が小さいほうが円安になる。名目為替レートとは逆なので注意。)

じゃあ、11年前(1998年1月)と比べたらどうか?1998年1月の実質実効為替レートは125.4。11年前と比べたら、今の90円は、円高でも円安でもない、と言える。

じゃあ、12年前(1997年1月)と比べたらどうか?1997年1月の実質実効為替レートは115.2。あれれ?12年前に比べたら、今の90円は円高、ということになってしまいますね。

経済学者がよく言う「名目で見たら○○だけど、実質で見たら実は~~なんです」というのは、実質変数を比較する基準をいつにするかによって、いくらでもなんとでも都合のいい結論を正当化できてしまう、魔法の言葉。

学者だったら「こういう理由で、基準年をこの時にしましたよ」という理由を言うべき。換言すれば、「基準年を選ぶ基準」を示すべき。

僕は僕なりの基準があって、それに基づいて「いまの為替レートのあるべき水準は90円台後半」と言っているのだが・・・。僕の基準については、秘密にしておこう。(アカデミズムを離れた今、自分の分析を、無料で見知らぬ他人に教えるほど僕はお人よしではない)。

日銀政策金利据え置き、円安、財務大臣辞任

■日銀政策金利据え置き
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/k090219.pdf

無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。

いつまで0.1%を維持するんだ。0%にしないのはなぜだ。近いうち、0%にせざるを得ない日が来ると僕は思うが、今、なぜそうしないのだろう。何をしぶっているんだ。

■円安
93円台の後半。何が円売りの要因か。何度も書いているが、僕が思ういまの円ドルの適正水準は、90円台後半。したがって、これでもまだ、やや円高か、と思っている。が、仮に「適正水準が90円台後半」という僕の考えた正しかったとしても、多くのマーケット参加者がどう思うか、が現実レートを決定する。だから、僕がここで「適正レートは90円台後半」といったとしても、現実レートがそうなる、と予想しているわけではない。現実レートは、適正レートから乖離する方向に動くことだってあるわけで。(非合理なマーケットが、より非合理になるリスクを無視したのが、LTCM破綻の原因の一つだったと僕は理解している。)

■財務大臣辞任
禁酒宣言でもすればいいのに。個人的にはけっこう好きな政治家の一人だったが、今回はがっかりした。こういう非常事態に「うっかり」では済まされない。残念。

実質GDP、年率換算では-12.7%

2008年10-12月期の実質GDPは、前期比-3.3%とのこと(内閣府の発表)。年率換算では-12.7%という極めて低い水準。しかし、この程度では済まず、もっとどんどん悪くなるだろう、というのが現実経済で働いている僕の率直な印象。

企業物価指数も5年1ヶ月ぶりに下落したが、たぶん、この下落傾向は今年いっぱい続くというのが僕の予想。実際に働いてみたら分かることだが、企業間で取引されている財やサービスの価格は、どんどん安くなっている。仕事の絶対量が激減しているので、安く買い叩かれている、というのが現実。GDPがこれだけ急激に減ったのは、急激な需要減。供給能力はそんなに一気に減らないよ。需要が減って供給が一定ならば、価格は安くなる。

消費者物価指数が、どこまで企業物価指数の下落に引きずられるか。また、影響のラグはどの程度か。デフレに逆戻りか。

「日本経済はそんなに大変じゃない」という認識をもった人が総理に座っているが、世間知らずにも程がある。

企業物価指数、下落

2009年1月の速報値が105.5。前年同月比で、-0.2%とのこと。

http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/cgpi/cgpi0901.pdf

前年比でマイナスになるのは03年12月以来で5年1カ月ぶりとのこと。

感覚的には、この下落傾向はしばらく続きそう。原因は、原材料価格の下落&原油価格の下落&仕事量の激減。今時、見積もりで「諸経費」なんて入れていたら、仕事をとれない模様。

今年一年は、消費者物価指数(伸び率)と企業物価指数(伸び率)の乖離がどの程度開くか(あるいは開かないのか)、個人的には注目したい。