『すべての経済はバブルに通じる』の読書感想(その3)

第5章 バブル崩壊1―サブプライムショック
2007年8月のサブプライムショックの説明。あまり面白くないので、スルー。


第6章 バブル崩壊2―世界同時暴落スパイラル

サブプライムショックから、2008年3月のベアスターンズ破綻くらいまでの話。面白くないので、スルー。

第7章 バブルの本質
タイトルにも使われている「バブル」という言葉の厳密な定義が、為されないままここまできてしまった。


第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖

20世紀型のバブルは、発生メカニズムがなかったが、21世紀型は、発生メカニズムがある、と著者は主張する。リスクテイクバブルは、構造的な市場に組み込まれていたのだ、と。著者の分類によれば、21世紀型バブルにあてはまるのは、97年アジア危機、新興国バブル、サブプライム、金融工学バブルなど。20世紀型は、日本で起きたIPOバブルや分割バブル、チューリップバブル。

ん?何を言っているんだ?LTCMの例で、

極めて小さな理論価格からのずれを発見する必要があった
(p235)

と書いているが、理論価格からのずれが「極めて小さい」のであれば、バブルではないじゃん。
それを金融工学バブル、と呼ぶところに違和感を感じる。バブルという言葉をちゃんと定義しないから、そうなるんだと思う。

あと、以下も疑問に思った。

今後、多くの識者の議論の反して、実体経済が相対的に力を持つようになり、金融資本の影響力は低下することになる可能性がある。原油高、資源高、穀物高によるインフレ危機が騒がれているが、これはモノの値段があがっているのではなく、お金の価値が下がっているのである。これこそ、実体そのものである資源や穀物と、マネーとの価値の逆転現象であり、金融資本の低下、衰退を示している。これがさらに進めば、実体経済と金融資本との主客が再び逆転し、本来の姿に戻る可能性がある。そのときこと、本当にキャンサーキャピタリズムが決定的に崩壊し、病が完治するときである。
(p243-244)

なにこれ、よく意味が分からない。今の円高を、「円が高いんじゃない、ドルが安いんだ」と言っているのと同じに聞こえる。かっこよく言っているけど、こういう議論って、「太郎君は次郎君より10cm背が高い」を「いやいや、次郎君が、太郎君より背が10cm低いんだ」と言うのと同じこと。

三回にも分けて本書を取り上げたけど、それだけ読む価値がある、ということ。本書はリーマンショック以前の2008年8月出版。その後つづく金融危機については、著者のブログでいろいろ書かれている。

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