なぜ人は投票するか

経済学のジョークに、こんなものがある。

二人の経済学者が、選挙の投票所でばったり出くわした。お互い、「今日のことは同僚には言わないようにしよう」と約束して、立ち去った。

経済学では、主体のインセンティブについて考える。選挙で言えば、国民が投票するインセンティブを考える。一つの票が、選挙結果に影響を与えることはまずない。過去の開票結果を調べてみると、一票差以内だったケースはほとんどないからである。

ではなぜ国民は投票するのか?合理的な人ならば、投票のメリットよりも投票コストの方が高いはずだ。経済学的には、「投票する」という行動は、合理的ではない。だから、経済学者である自分が投票しているところを目撃されて、恥ずかしがっている、というのがこのジョークの意味である。

なぜ人は投票するのか?まじめに、経済学的に考えてみよう。投票のメリットは何か?「国民としての義務を果たしている、という満足感」というのが真っ先に思いつく。ほかにも例えば「投票しているところを、地域コミュニティの人に見られたい」ということもありうるだろう。実際、ある研究によると、規模の小さい自治体ほど、投票率が高いらしい。これは、都会で近所づきあいが少ないようなエリアよりも、村社会ですぐに噂がたつようなところほど、他人の目を気にして、投票行動を起こしている、と考えることが出来る(注)。

今日、とある大物政治家のお話を聞く機会があった。その講演会の参加者を見ていて、この方たちのインセンティブは、まさにそういうものな気がした。講演会に参加する、などの政治活動を通して、コミュニケーションの場としているのでは、と感じてしまった。

(注)
Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything  (邦訳はヤバい経済学 [増補改訂版]
を、ハネムーン中にドバイの本屋で立ち読みして得た知識なので、ちょっとはっきり誰の論文が覚えていない。(それどころか、何頁目に書いてあったのかすら覚えていない。)ちなみにRevised and Expanded Editionではないバージョンの本は、こちら

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