『「残業ゼロ」の仕事力』の読書感想

いろいろな経営者の本をたくさん読もう、という気持ちから読んでみた。著者の吉越浩一郎さんは、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの元社長。自分の人生のあり方と、時間の効率的な使い方について、(いつも考えてはいるが)考えさせられた。

内容はタイトル通りで、「残業は悪、日本人は働き過ぎ、仕事意外のプライベートを充実させることなしに人生の質はよくならない」という感じ。フランス人の奥様の話を出したりもしながら、「ヨーロッパでは~なのに、日本では~」という言い方が多かった。「ヨーロッパでは残業なんて考えられないのに、日本では残業が善とされている」「ヨーロッパでは論理で仕事するのに、日本では義理人情浪花節で仕事する」などなど。ちょっと説教くさい。日本的ないいところもあるはずだが、本書では、それには言及していない。

残業をなくすには、デッドラインをまず決めて、それを達成出来るように仕事を進めろ、と。当然のことなのに、これを実現できていない大人が多いから、こういう本が売れるんだろう。残業をしているのは、定時までの時間でだらだら仕事しているからだろう、と。これも当然のことなのに、これを実現できていない大人が多いから、こういう本が売れるんだろう。もっと効率的に、もっと集中しろ、と。なんだか生活指導みたいだね。こういう本が売れるなんて、ちょっと悲しいな。ムダに残業をしている日本の企業戦士には、「会社の目的は儲けることだが、あなた個人の目的はそうではないでしょう」と言いたい。仕事に対してノリ気ではない人に対しては、「あなた個人の目的は違うかもしれないが、会社の目的は儲けることでしょう」と言いたい。

で、残業をなくして何がしたいのか、というと、仕事以外の時間を増やして、プライベートを充実させて、人生の質を高めよう、と著者は言う。ここは大賛成。著者は、「仕事は自己実現なんかじゃない。生活に必要なお金を稼ぐ手段でしかない。自己実現はプライベートでしよう。でもどうせ仕事しないといけないなら、ゲーム感覚で楽しんじゃおう」と考えている。ここは半分賛成、半分反対。僕は「仕事もプライベートも、両方とも自己実現の場」と考えている。ゲーム大好きだし。

だから、仕事とプライベートの時間は、できれば半分半分にしたい。そうするには、残業は一切したくない。それどころか、週休三日制にしたり、年間1ヶ月くらいの長期休暇をとれる会社が理想だとさえ思う。労働時間をそれだけ削っても、同じ売り上げ、利益、給料を維持できるような経営者が理想だと僕は思う。ライフワークバランス問題の最適解は、これだと僕は思う。著者は、ここまでは明確に書いてはいなかったが、たぶん同じようなことを考えているんじゃないかと察した。

もちろん、これは難解なことには違いない。ただし、これが最適解なのは、直感的に自信がある。どんな問題でも、必ずしも解があるとは限らない。解がない問題を解こうと努力し続けていたら、解が存在しないことが証明されちゃいました、なんてこともある。経済学なんかでも、ある問題について、解が存在することを証明するのが数理経済学者の重要な仕事だったりする。ライフワークバランス問題は、解が存在することは分かっているのだから(僕の脳内で直感的には)、解くのは実はそんなに難解なことではないんじゃないか。ま、がんばってみよっ。

コメント

  1. keychi より:

    この本は俺も読んでみた。てか『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』と『ざっくり分かるファイナンス』も。たしかにわかりやすくてよかった。
    それにしてもここ最近すごい読書量だね。
    さすがに同じペースでは読めそうにないな・・・

  2. daniel より:

    さいきん読むスピードが速くなってきて、けっこう読書が快適だな。でもまだまだ速くできるはず。脳の力をもっと解放できるはず。

  3. […] これもいい本でした。著者みたいなエネルギッシュで新しい情報に敏感なおじさまが経営している会社で働けている人は幸せだろうなと思った。けっこう雷を落とすタイプみたいだけど。雷が落ちないほうがおかしいんだよね。 中身は、いかにいろいろな情報サービスを駆使して生産性を高めるか、という著者のアイディアの紹介。参考になる。 著者は、すべての仕事にデッドライン(納期、締め切り)を設定するというやり方を徹底的にやってきた人なのだけれど(『「残業ゼロ」の仕事力』参照。)、これまでアナログでやっていた方法を、いかにデジタルに移行するかに苦心している様子。この本の最初の方ではgmailをつかったやり方、途中からevernoteの活用術になる。どっちも、参考になった。 多くの人が評価する、GメールやGoogleカレンダー、Googleドキュメント、Dropbox、Evernoteといったものは、基本的にすべて無料である。この時代に生きているなら、このぐらいのサービスは使ってみる「べき」だと思う。(p31) […]

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