雑記(Scribbling)

『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス』の読書感想

宇宙にはたくさん星があるのだから,どこかに知的生命体がいても良さそうである.中には科学的に高度に進歩し,宇宙旅行したりするやつらがいてもおかしくなさそうである.その中には,地球に立ち寄ってくれたり,メッセージを送ってくれたりするやつらがいてもぜんぜん不思議じゃない.

でも,まだ音沙汰はない.なんでだろう?いくつか仮説を思いつくが,それらは全て,次の三つに大きく分類できる.

(1)存在して,
    (1-1)実はもう来ている.
    (1-2)まだ来ていない.
(2)存在しない.

考えられる仮説を50個挙げ,この三つに分類して,それぞれの仮説について本書では吟味している.

まず,科学書として当然楽しめる.知的好奇心が非常に刺激される.宇宙人の展開する数学は,地球人の展開する数学と同じなのだろうか?という問いは,興味深い.数学は,人間がつくったわけではなく,真理として実在し,それを人間が発見してきただけ,というのが多くの数学者の考え方.この問いを立てるということは,数学は人間の創造物である,というタブー視される考え方に触れることになる.われわれの数学がわれわれの創造物ならば,そもそも宇宙人はわれわれと同じ数学ではなく,それに立脚されるわれわれの科学技術が展開されないので,宇宙旅行は宇宙人にとってそもそも不可能なのかもしれない.

それから,論理的思考のトレーニングとしても良い.フェルミ推定で検索すればいっぱい出てくると思うので,詳しくはそちらを見て欲しいのだが,地球外にいくつの知的生命体が存在するのか?これを計算する公式をたてて,大雑把な数字を入れれば,これは分かるはず,ってことを,フェルミというノーベル賞とった物理学者が考えたらしい.計算するとかなりたくさんの数になるはずなのに,いまだに地球人と接触がないので,これはおかしい,ということで,フェルミ・パラドックスと呼ばれている.フェルミの推定方法を,他のいろいろな局面で応用することが,フェルミ推定,と呼ばれているらしい.フェルミ推定を使えば,例えば,「日本にピアノの調律師は何人いますか?」なんて途方もない質問に,ざっくり答えられるようになる.フェルミ推定とは,ということが理解できる本.本書で取り上げられる仮説のいくつかは,「フェルミ推定の公式に入れる数字が,間違っているからだ」というものである(例えば,知的生命体が生まれる確率ってのは,あまりに小さいから,地球人以外に知的生命体がいないのだ,とか).

宇宙人に興味がある人と,フェルミ推定に興味がある人にオススメ.

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