『ランチタイムの経済学』の読書感想

ランチタイムの経済学 ランチタイムの経済学
スティーヴン ランズバーグ Steveno E. Landsburg 吉田 利子

ダイヤモンド社 1995-04
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経済学とはどんな学問かを、まったく経済学を学んだことがない人が読んでもよくわかる本。経済学とは「費用と便益の相対的大きさを比較する経験科学」と言えると思う。ある行為をとると、それが社会全体ではどれくらいマイナスで、社会全体でどれくらいプラスか、を計算して比較する。マイナスが大きければこの行為はとるべきじゃないし、プラスが大きければこの行為はとるべきである。経済学者の考え方はたったこれだけ。具体的な例を挙げて経済学者の思考回路が垣間見れる本。
グラフも数式も一切登場せずに、「ランチタイムのおしゃべりのように」つらつらと綴っている。読みやすい。話題は多岐にわたる。

英語の勉強法

帰国生だから英語できて当然と言われるが,実際には大学入ってからがんばって英語力を伸ばすように日ごろから意識していた努力の賜物だと思う.具体的にどんなことを意識してきたかメモ.
(1)映画は英語で見る
吹き替え版は論外.日本語の字幕は見ないように.最近のDVDだと字幕を英語にできるので,読みながら聞き,映画を楽しむだけで「読む聞く」のトレーニングになる.
あまり英語が出来ない人は,一度日本語で観ておいて,それをあらためて英語で見直す,というのも一つの手.
(2)iPodのポッドキャスティングで英語を聞く
これは去年の夏くらいからはじめた.おすすめはNHKの英語版.内容は日本のニュースなので,だいたい何いっているかわかる.アナウンサーの発音は,曜日によってよかったり悪かったり.朝と夕方に配信される.一回だいたい10分.通学途中に聞いている.
日本のニュースを英語で読んでいるだけだから,英語できない人もけっこう何言っているかわかるはず.レベルアップしたら,アメリカのCNNとかを聞くのも良いかも.発音はCNNのほうが良いし.
(3)英字新聞を定期購読
これは大学1年くらいのときにやっていた(いまはもうやってない).The Japan Timesを読んでた.毎日一面や気になる記事のみを選んで読んでいた.毎日いちパラグラフだけでもいいから,継続することが大事.いまの時代はネットでよめる.金かからないし,「とにかくトップ記事だけ毎日目を通す」とかでも大分違う.これもお勧め.継続が大事.
(4)大学の英語の授業は,自分のレベルよりやや高めのものをとる
大学で帰国子女クラスがあったんだけど,そこは日米両方の国籍もってる,とか英語のほうが日本語よりうまい,みたいな人もいるところだった.がしかし,そこに入って最後までやりきった.はっきりいって,このクラスにおける僕の英語レベルは平均より下だったと思うが,まぁ楽して簡単なところにいても仕方ないし.
(5)原著はなるべく原著で読む
これは大学院はいってから気にしていること.翻訳があっても,英語の原著にチャレンジ.辞書なしで電車の中とかだけで全部読めるためには,そうとうな語学力が必要.本の難易度によっては,TOEICとかだと900点オーバーできるくらいでないと,たぶん不可能.でも,小説とかなら根気さえあれば,もうちょっと点数低い人でもいけると思う.
とにかく,日ごろから意識しているだけで,大学入学時にはTOEIC 500点くらいだったとして,卒業時には900点を越えるのも実現可能な目標だと思う.語学留学して800点越えることも出来ないひともいるけど,ずっと日本にいたって英語を身につける機会はそこら中に転がっている.

『数学的センス』の読書感想


うーん,イマイチだったな.『不完全性定理―数学的体系のあゆみ』を書いた野崎昭弘氏の本ということで読んでみたんだが,あまりおもしろくなかったです.『不完全性定理―数学的体系のあゆみ』は文句なく面白かったけど.
著者が脈略なく雑談している感じで,あまり言いたいこともよくわからない.これを読むのだったら,『不完全性定理―数学的体系のあゆみ』を二回よんだほうが良かったな.こういうこともあるさ.

異地点で同時に意思決定すれば状態は改善されうる

有名な行動ファイナンスの話.以下のどちらが良いか?
A:24億円確実にもらえる.
B:100億円を確率25%でもらえるが,確率75%で何ももらえない.
はい,きっとみんなAを選んだね.
それじゃ,以下のどちらが良いか?
A’:確実に75億の損失が出る.
B’:100億円の損失が確率75%で生じるが,確率25%で何も損失が生じない.
うーん.今度はB’を選ぶ人が多いんじゃないだろうか.
さて,AとB’の組み合わせを選んだあなたは,儲けは確実に出したいが,損は確実に出したくないという人です(利得に対してはリスク回避的だが,損失に対してはリスク愛好的な人です).そんなあなたは,経済的に損しています.A’とBを選んだほうが良いのです.以下,説明.
AとB’の組み合わせ=76億円を確率75%で損するが,確率25%で24億円もらえるクジ
BとA’の組み合わせ=75億円を確率75%で損するが,確率25%で25億円もらえるクジ
であることに気がつけば,
BとA’ > AとB’
であることに気づく.BとA’のほうが明らかに良いのに,AとB’を選択してしまったあなたは,損するタイプ.
ある会社が,東京支店ではAとBの問題に,NY支店ではA’とB’の問題に,それぞれ直面しているとしよう.それならば,支店ごとに意思決定しないで,二つの問題を同時に意思決定することで,会社全体としては経済的に改善されうる,というお話でした.

『統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?』の読書感想

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? 統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
門倉 貴史

光文社 2006-10-17
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この本の想定読者層に、僕は入っていないな。統計学、経済学の知識ともに、僕のほうが著者より上だろう。あまり学ぶことはなかった、というか、それどころかツッコミたくなるポイントもいくつかあった。例を二つ挙げておく。
一つ目。「ニューヨークの犯罪率低下は、実は割窓理論の効果はそれほど大きくなかったんじゃないか」という議論をしているところで、「通説を疑う」姿勢は共感できるけど、著者がこう主張する根拠こそ、ぼくからするとぜんぜん信頼できなかった。
具体的には、第一にニューヨークの犯罪率を強盗発生率でもって代理変数とみなしていることの根拠をなにも言っていない。第二に、説明変数として「全米失業率」と「割窓理論ダミー」の二変数しかもってきてないが、ほかの変数をつっこんだ場合の結果はどうなるか気になる。実際、著者自身、ほかの要因として「少子化」を挙げているが、なぜこれを説明変数としていれなかったのか?この時点で、「大事な説明変数を落としています」と堂々と宣言しているようなもの。つまり、自分で「自分の推定結果には一致性がないです」と言っているようなもの。
二つ目。「刑務所が定員オーバーになってきているのは、犯罪件数が悪化したから」という通説に対して、著者は「格差拡大によって増えたホームレスが、衣食住を確保するためわざと刑務所に入るようになったからだ」と言っているが、なんの根拠も示していない。しかも、ホームレスが犯罪を犯して刑務所に入る以上、結局のところ、犯罪は増えているわけだから、通説は正しいということになる。結局なにが言いたいのかよくわからない。
「統計数字を疑う」というタイトルの本書では、「一見○○だけど、実は□□である」ということがいっぱい書かれている。「一見○○」が間違っているということを示すために、著者が示す「実は□□である」の部分も、僕からしたら「ぜんぜん信用ならない」ということ。そんなに簡単に真理はみつからない。簡単に見つかるなら、それは真理ではないし、研究者は苦労しない。
「通説を疑う」姿勢のみ評価できる。

『ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論』の読書感想


力作.ゲーデルのやった仕事は一般人には理解が難しいが,この本は一般人でもなんとかわかるように工夫して書かれている.とは言え,それでも内容は難しい.でも,パズルをところどころで解かせるので,読んでいて飽きない.
ゲーデルの性格,人間関係についても書かれている.友達はアインシュタインとフォン・ノイマン(コンピュータの生みの親で,ゲーム論つくった人)の二人しかいなかったらしい.ネクラの天才は天才としか友達になれなかったんでしょうか.
最後の方で,神の存在論についても述べている.ゲーデルだけでなく,歴史上,神の存在証明だとか非存在証明をやってきた人がいるけど,彼らの証明方法についても軽く触れている.でも,ゲーデル自身は神学論争に参加するためではなく,純粋な論理学の研究対象として,神の存在論の証明をしてみただけらしい・・・とか書いてあったが意味不明.「純粋な論理学の研究対象として,神の存在論の証明をしてみた」って頭いかれた人の発言にしか聞こえない.
数学,哲学,論理学,科学に関心がある人は,読んで損は絶対にない.こういう本を読んでしまうと,なんだか経済学がちっぽけな学問に思えてくる.発展途上学問だから当たり前なんだけど.

『数に強くなる』の読書感想

数に強くなる 数に強くなる
畑村 洋太郎

岩波書店 2007-02
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暇つぶしに読んでみた.暇はつぶせた.
大学3年のとき,シュウカツ対策に読んだ『ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか? 』をもっと一般向けに書いた,といった感じ.「よく知られているいくつかの数字をもとに,これらを組み合わせ推論し,欲しい数字を短時間で大雑把に導く」ということをもっと意識的にやりましょうね,が著者の主張かな.これが出来る人が,著者の定義する「数に強い人」である.
すでにそういうことに慣れている人にとっては,つまらん本だろうし,出来てない人にとっては,おもしろい本ということになる.でも,この本をつまらん本だと言える人はほとんどいないと思う.だって,著者の意味での「数に強い人」なんて現実にはあんまりいないから.そしてそれは,日本人は「数に強くなる」ような教育を受けていないから.
数学が出来るってことじゃない.日本人の数学力ってけっこういけてるんだとおもう.でも,数に強くなるのに必要な予備知識は,常識と四則演算だけ.あとは推論する能力と意思さえあればよい.優れた経営者には,「数に強い人」が多いと著者は言う.
例を一つ考えてみた.たまに,ベストセラーの本が100万部突破といって話題になる.100万部売れる本がどれだけすごいか,考えてみよう.日本人の人口は大雑把に1億.ということは,100人に1人がこの本を買っている.この数字だけを考えると,大した数字には思えないかもしれない.でも,本を買った人は,その本を家族や友達とかに貸して読ませる.特に結果的にベストセラーになる本なのだから,それだけ中身があると考えられる.よって,それだけ強くお勧めすると考えられる.仮に2人が読ませられるとしよう.すると,100万部売れた本は,300万人に読まれることになる.この300万人は,読んだ本の内容を大雑把に周りに人に話すだろう.電車とかご飯とかの席で話題に上るだけなら,たくさんの人に聞かせられる.仮に,10人に内容を話したとしよう.実際に本を読まなくっても,読んだ人から内容を聞くことで,この本の内容は,約3000万人の耳に入ることになる.というわけで,100万部売れると,日本人の4人に1人は本の内容を知ることになる.子供や超高齢者を除けば,3人に1人くらいが,本の内容を知ることになる.というわけで,100部本を売ると,日本人の3人に1人に大して自分の言いたいことを聞かせることが出来るから,100万部はすごい数なんだ,と思える.
・・・とこんな感じの思考回路を日常的に出来る人が,著者の言う「数に強い人」なんだけど,なかなか難しいね.

自分の頭をもっと使おう

情報技術の発達にかまけて,ここ数年で得た新しい記憶の多くを自分の脳みそではなく,外部記憶媒体(自分のPCのローカルディスクなり,ネット上の各種無料サービスなり)に外注してきたので,自分の脳みそがスカスカになってきている気が・・・.
少しは自分の大脳にも働かせないとバカになってしまう.これからしばらくは,暗記作業,計算作業など,意識的に頭を使うようにします.