学問(learning)

留学はいばらの道

留学についてここ数週間,かなり調べてみた.大体どんな感じか,把握した.一言で言うと,いばらの道.
アメリカのPhDを取得していなくっても優秀な研究者はもちろんいる.しかし一般に,経済学者を目指すなら,アメリカの大学院でPhD in Economics (経済学博士号)を最短でとることを考えるべきだと思う.なぜアメリカかと言えば,経済学研究の場合,圧倒的にアメリカが強いから.
PhD留学をするならば,ハードルがたくさんある.そこそこ高いハードルが大量にある,という感じだろうか.
当然まず英語.TOEFL250以上ない人は,お話にならない.といっても,英語力はいくらあっても足りない.250あっても,日本人に生まれた時点で,語学で苦しむことは間違いない.ここであきらめる人も多いだろう.簡単に言うが,現実にはそんなに簡単に250を超えられる人はいない.僕も250を超えたのは,学部4年だった.
次,推薦状3枚.なるべく自分のことをよく知っている人で,なるべく研究業績の高い人,というのが目安.教授はウソは書かないので,客観的に自分を評価してくる.つまり,自分が優秀であることが前提となる.さらに教授へのアピール・コミュニケーションが大事になる.
三つ目はGRE.アメリカ版センター試験みたいなもの.他の準備,勉強と併行して対策しないといけないので,大変.
四つ目はGPA.つまり,日本の大学や大学院での成績(特に数学の成績を重視するそうだ)のこと.Aを4点,Bを3点,Cを2点として,単位で加重平均したスコアで,3.5欲しいところらしい.僕は学部1,2年でサボったので,学部GPAは3.3しかない(それでも,3年になってから留学を意識し,3,4年でよく取り戻したと思う).大学院での成績は,春は全部Aだったし,たぶん秋もA以外はないと思う.だからたぶん,成績がボトルネックで留学が出来ないということはないと思う.当然,applyしてくる人はみんな成績優秀だろうから,僕の場合,どこかで学部GPA3.3という汚点を取り戻すアピールがないといけない.その意味で,いまやっている論文をなんとか今年中にPublishしたい.
五つ目はStatement of Purpose.エッセイ,研究計画書みたいなもの.
奨学金に応募しまくる,というのもけっこう心労.PhDをやる人は,ほとんど奨学金をとっているみたいだ.学費免除+生活費支給,というのも,優秀ならば夢ではない.せっかく合格してもカネがなくってあきらめることにはなりたくない.
以上と併行して,アメリカで落ちこぼれないように,渡米前になるべく学力を蓄積しないといけない.笑い事じゃなく,アメリカは競争社会でおちこぼれた人は,容赦なくクビをきる.その情け容赦の無さがアメリカの強さの源なのだろう.さらに,トップスクールを狙うならば,研究も一生懸命やって,研究者としての素質を見せることも考えるべきかもしれない.そういうことを考えたら,いま書いてる論文は,なんとか今年中にどこかにPublishしたい.
なんとか留学出来たとしよう.すると,初っ端にコースワーク(ミクロ,マクロ,計量)を死ぬほどやらされる.1年目の最後にテストがある.このテストは,翌年にもチャレンジ資格があるらしい.つまり,二回のチャレンジで突破しないといけないらしい.突破できないとクビになる.その際,かわいそうなので残念賞にMaster(修士号)をお土産にあげる.このページによれば,Boston Universityでは1回目のチャレンジでは,1/3がミクロとマクロの両方のテストに落っこちているようだ.最初の1年は,英語の問題もあるし,異国の地で勉強ばかりさせられ,かなりの精神的負担のようだ.
2,3年目は,フィールドワーク.指導教授を選択し,そのもとで研究助手,TAなどをやり,自分自身の研究を開始する.研究を開始すると簡単に言うが,研究とは「他の誰も到達していない新領域に,自分がはじめて足を踏み入れる行為」なので,かなりつらい.柔軟性が必要.頑固な学生はここでつまづく.
4,5年目は,研究を成就させる.論文を形にして,PhD論文を提出.アメリカの大学への就職を希望するなら,5年目は就職活動.
・・・このように,精神的コスト,金銭的コスト,時間的コスト,という三重コストを支払って,得られる対価はPhD,研究者としてやりたいことが出来る楽しい人生,ということになる.
さぁ,合理的判断は,どちらだ.留学か,就職か.ああ~・・・.どちらを選択するかで,今後の人生が大きく変わる.どっちを選んでも,見る視点によっては大差ないのかもしれないが.しかし,個人的には英語も出来るし経済学もよく学んできたし,自分の計量センスは突出していると思っているし,留学するならば,機は熟していると思う.学部卒ですぐPhDに突っ込んでもクビになったと思うし,もう少し年齢を重ねてからPhDに行ったら,柔軟性の無い学生になってやっぱり失敗する気がする.
というわけで,やるなら今しかないんだが,果たして最適な意思決定はどうなんだろう・・・ああ~・・・.

留学はいばらの道” への6件のフィードバック

  1. ども、計量経済学の講義のノートテイクでお世話になった吉田です。
    うちのゼミの教授は学部の時に東大の院に落ちてアメリカに行ったと聞いたんで、色々話を聞いてみたらいいと思います。
    一度コンタクトを取ってみたらどうでしょうか?

  2. あー,吉田君!blogを知られているとは知りませんでした.計量IIは,どうでした?秋学期は院生もえぐっていたようなので,学部生はテストできなくっても当然だと思います.
    矢野まこと先生が,東大の院に落ちて留学に行ったというのは,聞いたことがあります.矢野先生は,頭の回転が良いので,学部卒でいきなりPhDをとれてしまったんでしょう.しかも,確か4年でとっていたような.業績も一流だし.やはり頭の良さは別格か.
    とにかく,びびってしてばかりでも仕方ないので,いろいろな先生に相談してみます.コメントありがとう.

  3. wave,
    アメリカの大学に就職すると,tenure(終身雇用権利)をとるのが大変らしい.がんばってAssistant Professorになったら,次は3,4年以内に論文をどこかにPublishしなければならない,というプレッシャーがあるということ.
    日本に帰ってくる場合の就職状況は分からん.PhD中に,ちょくちょく日本に帰ってきて,日本の学界とのコネクションを途切れさせないようにしたほうがいいらしい.
    いずれにしても,いばらの道だ.
    少子化でポストは減少傾向なのに,国は大学院を強化しようとして院生は増加傾向.大量の失業者が出る業界...こわ.

  4. なんか、これ潜り抜けたらもう違う世界の人間になりそう。
    tenureを取るのも大変なのか~。
    日本の大学入ったら、一応すぐにtenureってことなんだが。これもアメリカと日本のカルチャーの違いか。Sだったらアメリカの大学でそっこーでクビだろうな。

  5. 米国でtenureをとるところまで行ったら,違う世界だろうな.特に,Yaleみたいなところだったら.Otsu氏は,どこまでいけるんだろう.

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