計量経済学者にとってITリテラシーは生命線だ

なんか,S&P500データの月中平均データがほしくって,
日次→月次(月中平均)
へデータ加工していたら,かなり時間がかかってしまった.日次データは,月によって21個データがあったり,22個だったりで,規則性がない.いや,太陽暦の法則とかまで勉強した上でアメリカの金融市場が過去50年間くらいでいつ何曜日に取引を行わなかったかとか,アメリカの祝日などの情報を勘案した上で考えれば,規則性はあるんだろうけど,さすがにそこまで考えるのはばかげている...と思いつつ,一瞬だとしてもその規則性を発見することに関心を持ってしまった自分が嫌だ.
そこまではやらなかったが,どうやってプログラムを書いたらいいか考えていたんだが,なかなか思いつかずに時間だけが過ぎ去っていった.
で,そもそも統計解析プログラミング環境Rだけで全部処理しようと思っていたのが間違いだった.Excelと秀丸とRの併せ技でやったら,すっげー簡単に出来た.Excelも捨てたもんじゃない.秀丸には足を向けて眠れない.
それで何がいいたいかというと,応用計量で生きていくには,こういうコンピューティングリテラシーを高めるのは避けて通れない,ということを実感した.計量の理論をいくら勉強したところで,それを使ってデータを実際に解析できないと意味がない.
現実に,データはそこらへんに都合よく転がってはいないので,データ整備で計量経済学者は苦心する.高いコンピューティングリテラシーは,この苦心を最小化してくれる.

研究モード

テスト,レポートなどがすべて終わった.長かったような短かったような,修士1年が終わった.春休みの過ごし方についていま悩めるところがあるが,とりえあず,日本ファイナンス学会での研究報告の申し込みが今月末(あと一週間くらい!)までなので,締切まで論文と要旨を書くことに集中したいと思う.
卒論を出発点に,去年の夏くらいから本格的に進めてきた研究で,分析結果などはいろいろとあるので,それらを論文の形にまとめるだけだから,楽しい作業になりそう.
その後のことは・・・今はとりあえず,ファイナンス学会のことに集中しよう.

『美しい国へ』の読書感想

美しい国へ 美しい国へ
安倍 晋三

文藝春秋 2006-07
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我が国のいまのトップはどんな考え方を持った人なんだろう、ということで、今更ながら読んでみた。
育ちのよさを改めて感じた。Wikipediaなどを見ていても、血筋がよい。サラブレッド。いろいろな理想を綴っているが、この人は国のためになら死ねるんだろうな、と思った。それだけの情熱を感じた。正義感が強そうで、世のため国のために尽くしたいと本気で思っていて、カネとか名誉欲みたいなものには関心がまったくない、実に心の美しい人だと思った。
そして、その理由は、やはり育ちの良さだと思う。実にのびのびと生まれた段階から育ってきたんだろう。育ちがよく、何不自由なく生きてきたので、物欲や他人に対する嫉妬心とか名声を求める欲がないのでしょうね。マズローの考え方とかで考えれば、幼少時点ですでに「自己実現欲」以外のすべての欲求が満たされていたんだと思う。
生まれや育ちが非常に良いひとの理想論というのは、かなりの確率で正しい気がする。理由はよく説明できないが。もちろん、間違っていることもあるけど、総じて見れば、大体正しい気がする。にもかかわらず安倍さんに任せるのは不安だ・頼りないと思ってしまうのは、安倍さんの頭があんまり良くないからだとしか言いようがない。

新規カテゴリー作成

新しくカテゴリーを作成しました。経済学を学んでいるのに、現実経済のことが僕はまったくわかっていない。経済学の大学院でよく出来る学生というのは、必ずしも現実経済を目を向けているとは限らない。いや、むしろ現実経済にはあまり関心がない人のほうが多いくらいかも。
いつも勉強しているときはαだのβだのγだの、およそ現実経済とはかけ離れた、ただの記号とにらめっこしている。これはまずいと思うので、自分自身の目を現実経済に向けさせるために、こんなカテゴリーを作成してみた。
いま頭の中にあるのは、
・株価の動きを説明する
・債権価格の動きを説明する
・為替の動きを説明する
・金利の動きを説明する
・実際に採用される金融政策、財政政策について、(政治的なことはさておき)経済学的に考えてみる
・輸出入量の動きを説明する
・不動産価格の動きを説明する
・新聞の経済記事などに書かれている誤りを指摘し、正しい経済理論を基にして正す。
・年金問題を経済学的に考える
・人口問題を考える
・インフレのコストを考える
・財政赤字のコストを考える
・異時点間の経済厚生の比較について考える
・貯蓄率の動向について考える
・・・といった感じの内容です。
せっかく獲得した経済学の知識を有効利用しよう。現実の経済を分析できる目を養おう。
(追記)
せっかくなので,このカテゴリーでは,「経済学の素人に対する,経済学の啓蒙活動」も併せて行おうと思う.

将来成功する大学院生のシグナル

こんなペーパーを発見。
What Does Performance in Graduate School Predict? Graduate Economics Education and Student Outcomes
アメリカのトップ5(Harvard, Massachusetts Institute of Technology (MIT), Princeton, Stanford or the University of Chicago)の経済学の大学院生に関するデータを使って計量分析している。院生時代の成績や国籍・性別などが、PhDコース在籍中の成績やPhDコースを終えた後の研究者・学者としての就職に対してどのような影響を持っているのか、ということを分析している。
例えば、こんな結果が得られている。
・1年目の成績がよい学生は、PhDコースを完了する確率が高い(注:アメリカでは大学院に入ると最初にミクロ・マクロ・計量という経済学の主要三科目を死ぬほど勉強させられ、テストにパスできない学生はクビになる)。
・マクロ・ミクロの成績がよいと、よい就職をする傾向にある(注:例えばHarvard大学のAssistant Professorになれるのが良い就職)。
・マクロ・ミクロ・計量という主要三科目の間の成績は相関している(マクロが出来るやるはミクロもできるし計量もできる確率が高い、とかそういうこと)。
・アメリカ人でないほうが良い成績をとるが、だからといってよい就職をするわけではない(アメリカがPhDを与える態度ってダブルスタンダードってことなんですかね)。
・入試時点で提出するGRE scoreの中では、Analytical GRE scoreが一番、大学院に入ってからの成績をよく予想する(その学生の脳味噌の基本スペックが一番現れるということでしょう、きっと)。
大体こんな感じ。さ、データをいろいろと計量分析した結果このようにいろいろなことが分かったわけでございます。通常、個人的な経験や直近に人から聞いた印象に残っている情報、あるいは情報源の怪しい噂話をもとに「○○って○○らしいよ」のようなきわめて信頼度が低い情報が世の中に大量にあるが、計量経済学ってけっこうすごいでしょう?ここに列挙した分析結果は、実に科学的手続きによって得られた、かなり信頼度の高い情報であります。
いま、信頼度という言葉を使ったが、上に列挙した結果は、信頼度100%の分析結果ではない。しかし、「この結論は99%以上の確率で正しい」といったような、「紛れの度合い、不確実性の度合い、ウソを言っているかもしれないという自覚、信頼度」をちゃんとコントロール(いや、有意水準を通常なんの根拠もなく5%に設定し、リスク関数をベースに主観的に決定していないので、コントロールという言葉は間違っているかな?)、把握している。これが計量経済学であって、実に学問に真摯な態度だと思う。
さぁいろいろと分析した結果このペーパーのconclusionを見ると、一番最後の文章がこれでございます。

Our results suggest that there is not an easily recognizable star profile or single path to success for an economics graduate student.

さんざん分析して結論は、こんなにあたりまえなことかい?!・・・と。一般人には難解な言葉と数式を使って導かれる専門的な論文の結論というのは、往々にしてこのように結論で笑いをとる、ということを示した好例と思った。
あぁ、経済学のジョークを思い出してしまった・・・。

空中浮遊マジックの種明かし

youtubeでこんな動画を発見。

マジックというのは種が分かれば、なーんだ、と思ってしまうが、種が分からないので驚ける。つまりマジックは、マジシャンと観客の間の情報の非対称性が存在するからこそ付加価値を生んでいる。googleでどんな情報も検索されてしまう時代になっても、マジックを見て人々は驚けるのであろうか?「このマジックすげー!」と思ったらすぐに検索してその種を知ってしまえるとしたら、そのマジックをやる価値はかなり減ってしまう。今までは「空中浮遊」みたいな何回もやられてきた古典的マジックを見ても、種が分からないので、みんな拍手してきた。しかし今後、googleで種がすぐに明かされてしまうとしたら、マジシャンは何か新しいことをどんどんやることを要求されてしまう。
別にマジシャンに限ったことではないかもしれない。「一般大衆との間の情報の非対称性」に基づくような高度な専門職業人は、「googleが情報の非対称性を埋めてしまう」ので、「別のところでもっと付加価値を出すこと」を強要される時代が来ているのかもしれない。
マジシャンの場合、「一般大衆との間の情報の非対称性」に基づいているだけではなくって、神のような手さばきがある。例えば、以下の動画では古典的なカードマジックの種が明かされまくっているが、僕はばれずに、しかも大勢の前でうまくやれる自信はない。

「一般大衆との間の情報の非対称性」だけではなく、「別のところでもっと付加価値を」といったとき、具体的に何が専門職業人に求められるんだろうか?それは、身体を使った技術、経験、人格など、ネットでは表現の出来ない、身体に関係する部分なのではなかろうか。